3話

何気ないことから始まった丸井くんとのラインは、今もまだ続いている。なるほど、縁とはどこから続くものかわからないな、と思う。
丸井くんへの返信は、私にとってはなぞなぞ解いてるみたいな、そんな感じ。何が正解かわからなくて、頭を悩ませてしまうから。

『俺はいつの季節でも食いもんがうまいから好きだぜ』

『そうなんだ、私は秋が好きだよ』、と打って、全文消す。あまりに普通すぎたかな?『丸井くんは食べ物のことばっかだね笑』とか?でも馴れ馴れしいような気がして、それも消した。やっぱりわからない。
数分悩んで、一番最初に打った文にした。後から、栗が美味しいからって文も加えて。

丸井くんへの返信は、答えがわからない。けど、元々答えなんてないのか、それとも、何を返しても答えにしてしまえるのか、いつだって楽しい返信が返ってくる。私は最近見つけたばかりの丸井くんのそういうところを本当にすごいと思っている。
返ってきたばっかの、『栗うめーよな!』っていう返信1つにしたってそうだ。私が悩んでたのがバカみたいになる。

『俺が好きな季節やっぱ夏かな』

『栗きんとんとかね』から始まった、栗が入った食べ物の言い合いの途中で、丸井くんがふと言った。もう食べ物が尽きたことも突然言い出した理由の1つだとは思うけど。

『そうなんだ、なんで?』

『夏ってテニスの大会あんだよ』
『やっぱテニスしたいし、試合してる時が一番楽しいし』

うちの学校のテニス部は、すごく強いらしい。真っ青な空と、その下で楽しそうにテニスをする丸井くんを想像する。ああ、なるほど、これは確かに丸井くんはモテるだろうなぁ。想像だけでそう思うくらい、かっこよかった。
『テニスしてる姿はかっこいいんだろうね』その一文は恥ずかしくて、それから、なんとなくだけど想像の丸井くんは、心の中だけに留めておきたくなって、送れなかった。
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