「あ、あの、ずっと前から好きでした!これ、手紙です!受け取ってください!」

「…悪いがこんなものはうけとれねぇな!ここの文字を書きかえてから出直しな!」

「はい!」

「いや、今のは違うだろ。あんたのこといつまでも好きでいると思わないでよ!だろ」

「いや、完璧に顔赤かったからそれはない」

ただいま、向日と遠くに見える男女2人のアテレコをしております。

皆は告白現場見たとしてもこんなことしちゃダメだよ。オススメしない。

「女の子可愛かったのにもったいない」

「別に可愛くはねーだろ!ブスとは言わねーけど」

「可愛かったよ」

「お前の目って節穴だな」

「私の目とさっきの女の子に謝れ」

もう一度告白現場の方を見るけど、もう女の子はいない。金髪の男子が残っているだけだ。まあ、もったいないも何も、あの子かっこいいからモテモテなんだろうな。

あれ?

「ねえ、向日」

「何だよ」

「告白されてたのって跡部さん?」

「お前気づいてなかったのかよ!あんな目立つ金髪跡部しかいねーだろ!やっぱお前の目って節穴じゃん!」

「黙れよ!でも、どうしよう。跡部さんの告白現場とか私なんか罪悪感しか感じない」

「俺様を呼んだか?」

声のした方にぐるーと首を動かせば、今まででステージの上か廊下のちょっと遠いとこでしか見かけたことのない整った顔がある。今すぐにでもアーンと言い出しそうな怪訝な顔だ。

本物だわ。

芸能人を見るような目で見てしまうのはしょうがない。だって、そこらの芸能人より顔は整ってるし、カリスマ性半端ないし。

私が戸惑ってる横で、向日は今あったことを説明している。忘れてたけど、こいつテニス部だった。

「告白?そんなわけねーだろ」

「違うのかよ、つまんねーの」

「書類を見てただけだ。書類の束を手紙と見間違えるなんて、目がおかしいんじゃねーのか?」

「おい、苗字、お前やっぱ目おかしいって」

「ウン、メガネガオカシイノカナ」

「何で片言なんだよ」

「何でもないよ。ああっ、いっけね!もう授業が始まっちまうぜ!じゃあね、向日」

適当な棒読みの言葉を言い残し、教室に向かってダッシュ…はしずに早歩きで向かった。

怖い怖い。あんな人の近くにいたら私の存在が消滅してしまいそうだ。派手すぎて。
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