それって…



『ふんふんふ〜ん』


ここは血盟城のキッチン。

料理長に頼み込んで貸してもらったのだ。材料も調達して料理をする。

だって、たまには和食が食べたいっ!長く眞魔国に滞在すると和食が恋しくなる。

朝はやはりお味噌汁であろう!

そう意気込んで作った朝食。――とは言っても、全く地球と同じ食材がなかったので、似たような味にするには苦労した。


『よし、出来た! いただきまーすっ』


広いキッチンの片隅で手を合わせる。いざ食さん!とお箸を握りしめると――


「あ、サクラーこんなとこにいたのか」

「探しましたよ」


――ユーリとコンラッドが入って来た。


「あれ?それ…」

『うむ、朝食だ』

「珍しいメニューですね」

「あっ!!これ味噌汁っ!?」

「味噌汁…。あぁ、日本食ですね」

『そうだ、和食が恋しくて作ったのだ』

「おれも食べたいっ! やっぱ日本人は日本食だよなー」


ユーリとコンラッドの分くらいの量はぎりぎりあったので、二人に準備する。


「いただきます」

『どうぞー』


懐かしい味に満足しながら、和食の素晴らしさについてユーリと語り合う。コンラッドもユーリも「美味しい」と絶賛してくれて、大満足である。


「サクラ料理出来るんだな」

『ぅむ? どういう意味だそれは…』

「でも、ホントに美味しいですよ。毎朝食べたいくらいです」


料理出来るんだ発言にカチンとしてたら、コンラッドが爆弾を落とした。




“君のお味噌汁を毎日食べたい”

そのセリフは一昔前に流行った?プロポーズの言葉である。――毎日食べたい、それは妻になって俺に料理を作ってくれと言う意味なのだ。

ピタりと箸を止め、コンラッドを見て…ユーリを見る。 私も、ユーリも半ば唖然。

だが……コンラッドは変わらず食事をしている。


『そ、そうか…(そうだな…コンラッドがその言葉の意味を知っている訳がない)』

「お、お、おいしいもんなっ (だよなっ!あーびっくりした)」


ユーリと目で会話をし、頷き合って食事を再開する二人。







___日本生まれが故に驚いた二人だが――……


コンラッドが…実は知っていてその言葉をサクラに言ったとは……知らずに笑いあった地球組であった。










それって…




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