皆様、九月です。
『九月だな』
「そうだねー早いね。夏休みも終わったなー…」
何処か、哀愁を漂わせるユーリを一瞥して、紅茶を楽しむ。――そう言えば…。
『宿題は終わったのか?』
「う゛…それは昨日頑張って終わらせたよ」
『ユーリは最終日に焦るタイプなのだな』
「そう言うサクラはー?」
『私の学校は夏休みも定期的に授業があったから、嫌でも毎日勉強しておったぞ。…まぁ…こっちに来ている間は何もしておらぬかったが…』
「はぁ〜進学校って大変なんだなー。おれは夏休み中ずっと野球してたよ」
『うぬ、こんがり肌が焼けておるから判るぞ』
健康的な肌色になったユーリに私は笑みを零した。
うむ、やはりラザニアが淹れてくれる紅茶は美味しい。
「九月と言えば…?」
『実力テストがあるな』
「うわ〜…それを言わないでー!他に、他には何もないのっ?」
『うぬぬ…私は弟の運動会が……あれ、ユーリは体育祭は今月ではないのか?』
「あーあるある」
『それが過ぎたら中間テストで、文化祭があったのち期末テストだな』
「あ゛ー」
『…加えてユーリは王様の仕事で、ちょくちょくこちらに呼ばれるだろうがな』
「……」
二人で顔を見合わせて溜息を吐いた。
「――学生は大変なんですね」
「!」
『……』
穏やかなティータイムにコンラッドが乱入してきた。
因みに、ここはユーリの部屋である。執務から逃亡したユーリと黄昏ておったのだが――。
気配がしておったから、私はそこまで驚かなかったが…ユーリは、急に別の声が聞こえて、ビックリしていた。
「そうなんだよ〜。テストとかさー…」
『まぁ…私も好きではないが』
「早く俺の所に嫁いできてくれたら、そんな懸念から解放されますよ」
『……』
「陛下もテストとやらが嫌でも……ここにいれば執務が待っていますよ」
「……」
今…さらっと凄い事を言われた気がする。――そしてユーリは…軽く脅されておらぬか…?
『い、いやこれが学生の務めだから…なっ、ユーリ?』
「お、おう!テストもどんと来いだよ! (執務よりテストの方がマシだぁ)――…って、陛下って言うな、名付け親ッ!」
「すみません、つい癖で」
意味深な婚約者の視線をスルーして、ユーリと一緒に乾いた笑みを零した。
――とりあえず――…
皆様、九月です。
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