君らしく純真なままで 9 | ナノ

二次創作

君らしく純真なままで







「ワガママついでに、ヤマトさん、穴埋めしてほしいな」





 ミミのその言葉で路地裏を歩いていた二人は、いったんスーパーマーケットに立ち寄ると買い物を済ませ、ヤマトの自宅へ足を運んでいた。年頃の女の子を男性二人住まいのむさ苦しいマンションに上げるのは躊躇もあったが、なにしろ相手はミミなので、そんな気持ちもすぐ薄れた。

 心配事と言えば、ヤマトの方が変な気を起こさないかどうかであったが(年齢的に一番そう言うのに興味がある時期なのだ)、万が一の時は理性で押さえつけると固く心に誓ったのだった。そもそも、今の自分には、空がいる。あれから色々あって、空とはそう言う関係になった。ミミを家に上げるのは空が嫌がるのではないか、とも考えたが、やはりなにしろ相手は空も妹のように可愛がっているミミなので平気だろう。ヤマトにしたってミミでなければ、家に上げたりなどしない。



「最近ね、料理に凝ってるの」



 キッチンで食材を取り出しながらキラキラと笑顔を振りまくミミに、ヤマトは感慨深げに頷いた。かなり偏った、破壊的な嗜好の持ち主だったミミの料理。冒険の始めの頃、目玉焼きにはなにをかけて食べるか、でみんなで雑談したことがあった。塩と胡椒だと決まっていると豪語する丈。醤油だと答える太一。ソース派の空。マヨネーズ派のヤマトと、ポン酢派の光子朗も微妙な嗜好だと現在は思うが、問題はミミだ。──目玉焼きって言ったら、やっぱり砂糖よね! あたしはそれに納豆が乗ったのも大好き! ──当時はあまり融通性のなかった丈がかなり頭を悩ませたものだ。ヤマトも、みんなも、少し引いた。

 そのミミの手料理。彼女がアメリカへ発つ前に一度、みんなに振る舞ってくれたことがあるが、とてもとても食べられたものじゃなかった。今では愉快な、楽しい思い出の一部。あれから少しはまともな嗜好を身に付けたのだろうか。末恐ろしい感じと、それ以上の興味と、楽しそうにまな板を叩くミミが隣にいる穏やかな気分が交差していた。

 ヤマトの自宅のキッチンで、かなり手慣れた動作で食材を切り分けるミミの手伝いをしながら、いつしか料理の話題はヤマトのバンドへと流れていった。仲間たちはスタジオやライブに何度か訪れたことがあるが、ミミはまだない。度々帰国する彼女だったが、どうしても時期が合わなかったのだ。



「ミミも音楽、好きだったよな」

「ええ、あたしは、歌うのが特に好き」



 ヤマトもボーカル担当なので、歌うのはかなり好きだ。フライパンに油を落としながら、ミミはそうして顔を綻ばせた。音楽や料理と言った共通の趣味を持つ仲間は、ミミを置いて他にいない。聞くところによると、ミミもかなりの歌い手らしいのだが(太一と丈はデジタルワールドで聞いたことがあるらしい)、残念ながらヤマトは耳にしたことがなかった。いつか聞いてみたいと思いながら、時ばかりが過ぎてしまった。



「ヤマトさんのバンドの音楽、向こうでよく聞いたの。ヤマトさんの歌声が、すごく好きで、懐かしい気持ちになるんです」



 時々、ヤマトからCDを輸送していたのだ。嬉しいような恥ずかしいようなこそばゆい気持ちで、ヤマトははにかんだ。



「懐かしい?」



「うん。あの冒険で、ヤマトさんがよく聞かせてくれた、ハーモニカの音色を思い出すの」



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趣味まで共通している二人w
なんか書けば書くほど、この二人お似合いなんじゃないかと思えてきました。
ただなあ、ヤマトさんがヘタレだからなあ←

将来料理家になるミミちゃんの夫ですが、自分はあれ、マイケルだと思いました。子供の髪型的に?
マイケルの人となりって全然わからんのであまり萌えないのですがね←
でもなあ、あれ絶対マイケルだよなー。ミミちゃんのハートを射抜くほどなので、よっぽど中身も男前なのでしょうか。
なんだか考えれば考えるほど、男性に惚れるミミって想像がつかないのですよね。空はまあ、太一とかヤマトみたいな男前が好きなのでしょうし、ヒカリも兄ちゃんみたいなタイプが好きでしょうし、京はまあ顔が良ければいいと言うか賢ちゃんがいますし、でもミミってなんだろう? どんな男の子が好きなんでしょうね?
個人的にはミミは人を振り回してしまうタイプでしょうから、その逆の一筋輪ではいかないタイプに惚れてほしいなと思います。光子朗とかタケルとかが該当します。
おお、そいつぁ萌えるなww


2013/11/25

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