壊
それから、もう何着か服を買い必要になるであろう食料もかって、二人は町を歩いていた。
夕焼け色に染まる町は何とも美しく、早速買った服を身にまとっているリベラが嬉しそうに頬を緩めながら歩いている。
その隣を歩いているテレシオも、食料の入った袋を両手に持って微笑みながら歩いていた。こうしていると、兄妹のようだとテレシオは思う。そう、かつての自分と幼馴染の様に。
今日はもう遅いから、明日出発しようということティズモと話はついていたため、宿はもうすでにとってある。というか、最初にリベラと会ったあの宿屋だ。
宿屋につき、荷物を持って二階へ上がる。どうやら、丁度良く隣同士の部屋がとれたらしい。リベラに片方の部屋に入るように促すと、コクリと小さく頷いて部屋の中へ入っていた。
それを確認すると、テレシオも部屋に入る。
忘れてはならないのが、テレシオはリベラの護衛だということだ。リベラは確かに恐ろしい程に強い。だがしかし、それはオステ達のような真っ向から立ち向かってくる敵に関してのみの事。
暗殺などに対抗するには、彼女はいささか不釣合いなのだ。もちろん、殺気を読むことには長けているだろうし軽々しく彼女に攻撃を当てられるものがいるとは思はない。
だがしかし、遠い所から射撃されたら。食べ物に毒を仕込まれたら。
彼女は、抗う術を持たない。
オステ達は確実に知能を高めてきている。
一時の油断も許されないのだ。
破壊を止める術はない――――無力な人間の末路は
[ 16/17 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]