あの後、テレシオとティズモそしてリベラは任務について話をした。老人はというと、そうそうに退出していたようで、話が終わったころに戻ってきた。


そして、テレシオが気付いたのはリベラの服装だ。粗末なものではない。むしろ沢山の細かな装飾が施されていてとても高価なものとさえも思える。だが、戦いに赴くにはいささか不向きなのではと思えた。


今、軍部で来ているものを用意してもいい。とにかく、リベラが傷つくのは見たくなかったのだ。リベラの今着ている衣服では、彼女の身を守るのに十分ではないだろう。

そのことをティズモへと伝えると、私がどうにかいう問題ではないと言う。



「どうする?軍部の服でよかったら、すぐにでも用意できるけど…」



テレシオがリベラにそう言うとリベラは小さく首を傾げる。



「ぐんぶのふくって何ですか?」


何気なしにリベラの言った言葉に一瞬その場の空気が凍る。否、ティズモだけは感情の読めない薄ら笑いを浮かべていたが。


目を見開いていたテレシオが、慌てて何から説明したらいいものかと頭をフル回転させていると横からティズモが口挟んだ。



「この子には、オステの事と最低限の常識しか教えていない。何分、戦闘訓練にあてる時間が惜しかったものでね」



悪びれる様子もなく、さも当然と言う風に言ってのけたティズモを睨み付けたテレシオは、どうしたものかと頭を悩ませた。



「あ、あのえっと…」



何やら自分が気分を悪くさせてしまったらしいと思ったリベラは慌てて何かを言おうとおろおろと視線を彷徨わせる。



「リベラ殿さえよろしければ、買い物にでも行かれたらいかがですか?これからの食糧なども必要でしょうし」



そう言ったのは、テレシオをここまで連れてきた案内役の老人だ。リベラは首を傾げるが、テレシオはしばし考えてから立ち上がると、リベラに手を差し出す。反射的にその手を取ったリベラはそのままテレシオに手を引かれて立ち上がる。




「それじゃ、行こうか」





――――じゃ、行こ!!


――――待ってよ、ティオ



不意にリベラの脳裏に浮かんだ一つの光景。まだ幼い少年の差し出した手に、これまた幼い少女が嬉しそうにその手を重ねる。とても微笑ましい光景で、二人はまるで兄妹のようだとリベラは思った。

だがしかし、不意に頭が酷い痛みに襲われる。まるで、その先を見てしまったら二度とここには戻っては来られないような、そんな気がした。リベラは頭を振るとテレシオに続いて外にです。








頭痛のことを、テレシオに話す気にはどうしてもなれなかった。












恨む


――――君と僕とを違えさせた運命を




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