寝起き





チュンチュン……となんともまぁ小鳥たちは元気なもので。体を縛り上げられているせいか、いつもよりだいぶ早く目が覚めてしまった。

やばい、これひでぇな。乙女になんてことするんだ。

フンッブチッと力を込めるとあら不思議、私の縛っていた縄が引き千切られ……たら良かったのになぁ





「うわあ、マジヤベェよ。眠いし。すげぇ眠いのに、二度寝できないこの辛さ!ふぁああ、なんか眠くなってきたな寝よ!」




ボフンと床に倒れ込みそのまま夢の中に、行こうとしたらスーと襖が開いた。そして入ってきたのは優しそーなおっちゃんが入ってきた。




「あぁ、目が覚めたかい」



「え?あ、はい。いちおー」



「すまんなあ、こんな扱いで……。今、縄を緩めるから少し待ってくれ」




「マジか!おっちゃん良い奴だな!第一印象を裏切らない!」



ハイ決定しましたー!私の中で井上さんはいい人に決定しましたーおめでとー!




「はは、元気なお嬢さんだね。起きたばかりのところすまないが、ちょっと来てくれるかい?」




あ、手首の縄はほどいてくれないのね。まぁ、そこまでできないってか。

逆らっても仕方ないので、大人しくついていこうと思います。






井上さんに案内されるままどっかの部屋に入る。すると、突き刺さる視線。やっべー最近視線という名のナイフが体にグサグサ刺さりまくりだぜ。




「おはよう。昨日はよく眠れた?」





真っ先に声を掛けてきたのは、昨日の茶髪マン(悠命名)。





「んあ?眠れるわけねぇだろうが!こう見えて繊細なんだぞ。枕が変わると眠れなくな…らないな。修学旅行の時爆睡したわ。結構図太いんだ。うむうむ、何処でも睡眠をとれるってのは大事なことですな」





「あはは!やっぱり面白いよ君!確かにさっき僕が部屋に入った時に全然目を覚ましてくれなかったもんね!」





けらけらと笑いながらそういう茶髪マン。ごめんよ名前知らないんだよ。しばらくこの人茶髪マンで行くから。




「なっ……」



茶髪マンの言葉に私は言葉を失う。だってだって。



「……からかわれているだけだ。総司は、お前の部屋になんか行っちゃいない」




「お前よく死ななかったな茶髪マン!」



フォローを入れてくれたのであろうマフ君(マフラー君の略)には悪いが私のとっちゃ茶髪マンの安否の方が大問題だ。




「それどういうこと?」



「だって、私寝てるときに部屋に誰かは言ってくると無意識のうちにボコボコにしちゃうだもんよ!」



「僕は君なんかに負けないよ」



「あぁん?んなもん当り前だろうが!私の弱さを見くびってんじゃねェぞ!」







「……おい、てめぇら。無駄口ばっか叩いてんじゃねぇよ……」



黒髪ポニーテル。えぇ、なんか長いな。目つき悪いしめーちゃんとかどうかな?可愛くね?名前と見た目のギャップがププ。


あ、でも茶髪マン黙ったよ。笑い堪えたままだけど。




「でさ、土方さん。……そいつが目撃者?」


そう声を発したのは今度は茶髪のポニーテール君だった。その人らの方に目を向けると、男が三人。しかもみんな目つき悪い。何だぁ?ここの奴らはみんな目つき悪いのかぁ?



「ちっちゃいし、まだガキじゃんそいつ」



仕方ないな。決して小っちゃいと言われたのを根に持っているわけではないが、この茶髪ポニーテルのことはチビと呼んでやろう。




「お前がガキとか言うなよ、平助」



赤い髪の人がくっくって笑いながら言う。あの、嗤い方が悪役みたいですよとは言わないで置く。何故なら面倒だから。



「だな。世間様から見りゃ、お前もこいつも似たようなもんだろうよ」



筋肉が喋った!!多分この人はいじられキャラだろう。私の直感がそう言っている。




「うるさいなあ、おじさん二人は黙ってなよ」



「ふざけんなよこのお坊ちゃまが!俺らにそんな口きいていいと思ってんのか?」



「平助におじさん呼ばわりされるほど年食ってねぇよ。……新八はともかく、俺はな」



「てめぇ……。裏切るのか、左之」



「へへーん。新八っつぁん、図星されて怒るって大人気ねぇよなぁ」





何じゃこいつらは。ふざけるなよ。主人公を差し置いてべらべらべらべらしゃべってんじゃねぇうよ。でもま、私は優しいから?ちょっと黙って話聞いててやったんだけどね!

つか痛いな。こいつらの視線の中には敵意が混じってる。つか敵意だ。こいつら視線のナイフをぐっさぐっさ私の心臓にクリティカルヒットさせてきやがる。






「口さがない方ばかりで申し訳ありません。あまり、怖がらないでくださいね」





「いえいえ、そんな。怖がってなんかないっすよ。ただ視線の刃物がぐっさぐさで血みどろなだけで。つか、あんたが一番怖い……なんてことはないっすけどね!」



やべーやべーこの人眼からビーム出せるんじゃねェの?あ、もしくはメガネから。





「遅くなってすまなかったな皆」




誰かは言って来た。また人が増えるのか。これ以上出番なくなっちゃ主人公とか言ってられなくなるかもしれないから頑張って喋ろうかなうん。



「ああ、君か。自己紹介がまだだったな俺が新選組局長、近藤勇だ」



え?新撰組って言った?




「それから、そこの都市が副長で隣にいる山南君は総長を勤めて……」



ちょっと待って。新撰組ってたしか江戸時代辺りの人じゃ無かったっけ?



「いや、近藤さん。なんでいろいろ教えてやってんだよあんたは」




いや、歴史は陰陽師とかそういう関連のしか知らんからよく分からないけども



「……む?まずいのか?」




え、ちょっとまって。ということは、晴明様いなくね?時代ちょっと違くね?




「情報を与える必要がないんだったら「晴明様にあえねぇじゃねぇかコノヤロ――――!」




思いっきりシャウトしたら周りからの視線が痛い。でもな、これは大問題なんだよ。晴明様がいないんだったらルンルンで歩いたあの時間は全て無駄ってことじゃないか!





「おい、うるせぇぞテメェ!」



「お、怒るなよめーちゃん」




いきなり叫んだ私に恐れをなし…あ、すいません調子乗りました。驚いたのか怒り心頭のめーちゃんが怒鳴ったため私もおずおずと止めてみる。




「ねぇねぇ、もしかしてめーちゃんって土方さんの事?」





茶髪マンが話しかけてきた。私はん?と首を傾げながらめーちゃんを指さす。




「あの人が土方さんって人なのかは知らないけどあのひとはめーちゃんだよ」




「あはははは!よかったですね土方さん!随分可愛い名前で呼んでもらって!!」



「よかねぇよ!おいガキ!その変な呼び方二度とすんじゃねぇぞ」



「だって、お前らの名前知らないだってばよ!仕方ないからテキトーによんでたー」




あ、めーちゃんぷるぷるふるえてる。怒ったかな?怒っちゃったかな?





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