出会っちゃいけない
勘を頼りに平安の街をぶらぶらする(だから平安と違う)
でもなんでだろう。すごく見られてる。視線が突き刺さる。これ視線がナイフだったら今頃血みどろじゃね!?スプラッタな死体一丁上がり!!みたいな。
てか、暗いな。昔ってこんなに暗いのかよ。お月様が目に染みるぜ!!あ、今のうざかった。自分で言っておいてなんだが今のはうざかった。
「でもさーこんなか弱い乙女を夜道一人で歩かせるとかどうなん?どうせなら昼間に落としてもらいたかったな〜〜」
もし次にあの鍵にあったら真っ二つにしてやろう。などと物騒なことを考えていると、何やら生臭いにおいがする。
これは血の臭いか?
え、マジでか。
「おいおい、勘弁してくれよー面倒事は嫌いなんだってばよ!!」
「ひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」「何こいつら気持ち悪!!!」曲がり角をまがって目に入ったのは、目を血走らせて(つか実際赤い)刀もって(血のりついてらっしゃる)こっちを見てくるおじいちゃん(3人)。
お爺ちゃん元気だなオイ!今日も元気に妖退治ってか!
いや、このおじいちゃんたちの方が危なくね?なんか、目血走ってるっていうか妖怪とかそっちのくくりに入りそうな感じなんですけど!!
「血を、血を寄越せェええええ!!」
「ふざけんなジジィイイイイイ!!!」
やっぱそうだ!妖怪だこのジジィ!妖怪赤目ジジィだ!!!
ハッ!もしやこの妖怪ジジィを倒せば晴明様に会えるというフラグなのか!?それなら悠ちゃん頑張っちゃうよ!
普段は迷わず逃げちゃう悠ちゃんでも頑張っちゃうよ!!
「覚悟しやがれ妖怪ジジィ!!」
スッと右手を前にかざすとそのまま刀印を結ぶ。
「血をくれェええええ!!」
「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前!!」
自分の持つ霊力全てを刀印に集めて(集めるつもりで)九字を切る。
…
…
「血をくれェえええええええ!!」
「何できかねェンだよボケェ!!!つかさっきから血くれしか言ってねェぞ!頭大丈夫か!!」
ジジィが大きく刀を振り上げる。
あ、死亡フラグ。マジか。こんなところで死ぬのかぁ…
「ざけんなぁあああああ!!死亡フラグなんざへし折ってやんよぉおおおおお!!」
だらっしゃぁああ!!と元気よく掛け声をかけながら妖怪ジジィに殴り掛かる。
悠ちゃんの拳が妖怪ジジィの顔面にHIT!!大ダメージだ!
「ひゃひゃひゃ!!!」
「えぇええええ!顔面パンチくらったら死んどけよぉおおおお!!」
ヤベェぞ死亡フラグだ!どうしよう!!とここに来てやっと本格的にパ二くりだした私。
グシャ「え…?」
急に倒れた妖怪ジジィ。その胸から突き出ている鉄。
あ、ジジィ死んだなこりゃ。と思うと同時に私の脳内は恐ろしいほどに状況を理解してしまう。
「し、死んどるぅうううううう!!」
「動くな」
「え」
ひやり、と首筋にあたる刀。刀?刀…
「刀ぁああああああああああ!!!」
「あらら、一君怖がらせちゃってるよ」
「コレを見られたからには逃がすわけにはいかない」
え、ちょっとお兄さんがた。何恐ろしい事言い出してるんですか。人の人生を勝手に決めないでくださいよ。
私これから晴明様に会いに行かなきゃいけないんですよ。こんなところで死んでるわけにはいかないんですよ。
「え、えっとぉ……よかったらこの首にあるものどけてほしいなぁなんて思っちゃったり…」
「何言ってるの?駄目に決まってるでしょ」
「無理だ」
二人同時にバッサリ否定しやがる。ひでぇ奴らだな。人間の風上にも置けないな。全くもう、最近の若い子達は。
「死亡フラグゥウウウウウウウウウ!!!」
「ちょっとうるさいよ君。一君、この子どうする?」
「屯所に連れ帰って副長の指示を仰ぐべきだろう」
「あれ?殺さないんだ」
「マジでかぁあああ!!お前良い奴だなマフラー!」
「ちょっと、静かにしないと殺しちゃうよ?」
「すんません。まじすんません。だから命だけはご勘弁を!あれ?これなんか初っ端に出てくる糞弱い敵キャラのセリフみたいでヤダな。ちょっともう一回言い直すんで聞いてもらえます?フッ仕方がない。今日の所はこのくらいで…イタタタタタ!!切れる!首切れる!!」
「あはは!面白いね君!」
「そう言いながらも刀に力こめるのやめて下さいぃいいいい!」
それで、マフラー君に手首縛られて(あ、平安時代だから手錠ないんだ)茶髪君に腕を引かれながら(いや本当はそんな優しいもんじゃないけど)私はどこかに連れて行かれた。
死亡フラグ……は回避したのか??
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