イタリアの古城




イタリアの広大な森の中にある古城。あちこちから上がる硝煙に交じってはためく旗。そこにはイタリア語で「ボンゴレ9代目直属 独立暗殺部隊」「オレは今の10代目は認めない!」と記されている。

此処は言わずもがな戦地の真っただ中だ。

誰もが圧倒されるような緊迫した雰囲気の中で、のんきな声が響く。




「んまあ素敵な旗 レヴィったらここまでしてボスのごきげんとったりして〜」

「しししっいつまでたってもムッツリしたオヤジだぜ」

「ぬっ」




ハートを飛ばしながらそういったルッスーリアにレヴィを罵倒するベル。

反論しようと何か言いかけたレヴィだが、それはさらに大きな声に阻まれる。










「う゛お゛ぉい! そろそろおっぱじめるぜぇ!」















イタリア主力戦。

ボンゴレの奇襲作戦を早期に察知したミルフィオーレは圧倒的戦力でボンゴレを追い詰め勝負はついたかに見えた。

だがXANXUS率いる独立暗殺部隊ヴァリアーの急襲によりわずか10分でミルフィオーレの指揮官のいる古城は占拠された。

しかしこれにより32名しか隊員を持たないヴァリアーは四方を圧倒的兵力を持つミルフィオーレ勢に囲まれ窮地に立たされることになる。















「んもうっ嫌になっちゃうわ!!籠城戦なんて退屈よ!!ディフェンスなんて性に合わないわ!!」




辺り一帯が見渡せる、バルコニーの様なところで一人異様な叫び声を上げるルッスーリア。
それを聞いて、ベルは口の端を釣り上げる。




「残ったボンゴレ連合軍もあてになんねーしな こんなことなら最初から迎えに行けばよかったんじゃねーの?」

「ベルセンパーイそれってやっぱり紅雪サンのことですかー?」




間延びした口調で問いかけたのはフラン。頭には大きすぎるほどのカエルを乗せている。




「あったりまえじゃん。王子が姫迎えに行くのは当然だし♪」




しししっと独特な笑い声を上げながら答えたベルに、フランは相も変わらず無表情に毒を吐く。




「あー10年前のなんちゃら争奪戦で一目惚れしたんでしたっけーさっすが堕王子ー」

「ンだとカエルッ!!」




シュッとベルの手から放たれたナイフはそのままフランのカエルへと命中する。
ゲロッと言って、よろめいたフランだったがすぐに体勢を立て直すと、表情一つ変えずに「痛いじゃないですかー」といった。




「た、確かに妖艶だった…」




2人の話を聞いていたレヴィが、当時の様子を思い出して気味の悪い顔がさらに気味の悪いことになっている。




「てめぇ王子の姫に何言ってんの?」

「変態雷オヤジが」

「なぬっ!?貴様今なんといった!フラン!!」




敬語と間延びした口調はどこへやら、いつもより幾分か低い声でつぶやいたフランの声を的確にとらえたレヴィは声を荒げる。

だが、フランはそれをさして気にした風もなくレヴィに背を向け「きれいな空だなー」と空を見上げる。




ビ―――――――




突如として鳴り響いたけたたましいサイレンの音。そして、その音が鳴りやまぬうちにバルコニーに一人の隊員が駆け込んでくる。




「報告します!ミルフィオーレが一斉攻撃を仕掛けてきました!」


「う゛お゛ぉおおい!んなことで一々大騒ぎするんじゃねぇ!!」




ビクビクとしながら上ずった声で告げる隊員を怒鳴りつけると、隊員はビクッと大仰に肩をすくめる。

だが、まだ一番重要な部分を伝えていないと隊員は意を決すると声を張り上げる。




「そ、それだけではありません!!」


「ン?まだなんかあるわけ?」



隊員はひとつ深呼吸すると、ビシッと背筋を伸ばした。





















「べ、紅雪が現れ、ミルフィオーレを圧倒しているとのことです!!!!」





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