枯れた涙を流す
曇天の空を、一人見上げていたラピスは拳を握り緊める。
ここに来ると、やはり思い出してしまう、十年前のあの出来事。
裏切ってしまった。信じていた、あの子達を。
でも、私はもう、裏切られたくないから。
自分で、自分を嘲笑う。
やっぱり、私は、自分が一番大事なんだな…
傷つくのを恐れて、あの子達から逃げた。
それは、私が弱いから。それなのに、温もりを求めたから。
「……った」
一人、呟くが小さな声は、風にかき消されて消えていく。
これは、後悔。
後悔なんて、しても遅いって知ってる。でも、後悔せずには居られない。
自分を責め立てていなければ、本来の目的を忘れてしまいそう。あの子達のもとへ、戻りたいと願ってしまう。あの平穏な日常に。
「こんな事になるくらいなら、記憶を消すんじゃなかった」
再び呟く。頬を涙が伝っていく。
一時でも、平穏を望んでしまった自分をどれほど恨んだことだろうか。
ここに来ると決まって涙が出る。もうすでに、過去へ置いてきたはずの感情があふれかえる。枯れたはずの涙が頬をすべり、失ったはずの想いが胸を焦がす。
あの子達の前から、消え去って今日で丁度十年。
ボンゴレは、ミルフィオーレと言うマフィアから攻撃を受けている。
大量の匣兵器とリングに物を言わせてどんどん勢力を伸ばしている危険な組織。
「戦わなきゃ」
何故?
ボンゴレを守るため。
ボンゴレのファミリーでもない私が守るなんておかしいかもしれないけど。
でも、私は・・・
彼らが作り上げたボンゴレを
彼らが守ろうとしたボンゴレを
彼らが受け継いだボンゴレを
守ると誓ったから。
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