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その後、獄寺さんから無理矢理にお菓子を奪った楓は応接室に向かって足を進めております。
いや〜にしてもちゃんとお菓子持ってきてるなんて獄寺君偉いねー。
まぁ、「十代目に差し上げるために買ったのに…」って膝抱えて泣いてたのは誰にも言わないで置いてあげるよ。
「あ、楓さん!」
「あ、お母さん」
あ、お母さんってのは草々のあだ名だよ!
「草壁です。申し訳ありませんが、この先に行っていただくわけには…」
んだよ〜〜委員長に命令されてるの見え見えだよ〜〜
「ほら、これを上げるから通してね」
そういって、全速力でお母さんの脇をすり抜ける。
そして、そのまま応接室へ向かってゴーバック!!
「それじゃ戻ってるぞ」
「ん?」
何故だか、こんなところで天使の声を聴いた気がした私は急ブレーキをかけて後ろを振り向く。
「チャオっす」
「リボォーンくぅーーん」
「それ以上こっちにきたら俺の銃が火をふくぞ」
と、本物っぽい。ものっそい本物っぽい銃を突き付けられたから「オーケーオーケー。落ち着くんだ」と言いながらちょっとずつ後ずさりする。
「あ、そうだ!応接室!!」
あまりにリボーン君が可愛いから、本来の目的を忘れてしまっていたよ!可愛いって罪だね!
「お前は脳みそが罪だな。」
「あれ?心読まれちゃった感じ?」
「うぜぇ」
パンと言う乾いた音とともに、空気を裂く銃弾。
「え…?」
目の前にはニッと口の端を散りあげるリボーン君の姿。そして、恐る恐る壁の方を振り向くとそこは赤く染まっていた。
「あ…
あたったらどうするのぉおおお!!」
「あてるつもりでやったから大丈夫だ」
笑顔を崩さないリボーン君。まぁ可愛いけども!!
私の後ろにあるまるで血のように広がったペンキはいただけない。
あれ、避けてなかったらあたってたよ!?
私の心臓部分にクリティカルヒットしてたよ!?
せっかくの衣装が台無しになっちゃうじゃないか!!
「大丈夫じゃないですよリボーン君!これ見て!ペンキ!It's a ペンキ!OK?」
「ふざけんな死ね」
「何で!?」
「せっかく俺がもっと素敵な衣装を用意してやろうと思ったのに」
「いや素敵っていうか、あんなもんで服汚されたらさすがの委員長も応接室入れてくれないと思うんですよね」
ほら、あの人結構細かい男ですから!!
とか言って、はたと思う。なんで私は敬語を使っているのだ?
「へぇ、僕がなんだって?」
うん、敬語のことよりも重大な事件が起きてるね!
「やっべー山本にお菓子もらいに行くの忘れてた〜〜」
「待ちなよ」
ドスが聞いてるっていうのこれ?
ものすっごい低い声で言われたから私の頭はサイレンを鳴り響かせる。
逃げろぉおおお逃げろぉおおおウゥゥゥウウウ!!!って。
「いや〜いけねいけね。友達としてここはアクシデントを起こしてあげなきゃだめだよね!」
いや、まじでもっちゃんかまってやんないと最近あの子出番少ないからね!!
「アクションな」
すかさずツッコミを入れてくリボーン君を横目に見ながら、委員長は不機嫌そうにこっち見てる。てかあれ?なんでこいつ学ラン?
「おいテメェ雲雀、仮装してこいっつったよな?」
「……熱でもあるの?」
さすがの私の豹変ぶりに尾通りたのか眉を寄せて言う委員長。あ、ヤベェ。これ、心配してるっていうより、ブチ切れてるって感じの奴だ!
楓、絶体絶命!
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