ずれずれ
「…あの」

「……何」

「…………やっぱやめときます」

「言いなさいよ」

「……今度から朝ごはんは食べたほうがいいですよ」

「……うっさい」


(自分が言えって言ったのに)


「何?」

「いえ……」


祐希は心に思いを踏みとどめ、教室の窓を開ける。



新鮮な、朝の空気が入ってくる。


しかし、二人の間は空気がじめじめしている。



原因は、数分前の梨萌がぶっ倒れた原因にあった―――




◇◇◇◇



バタンッ


いきなり倒れた梨萌。


「え……。大丈」



心配して梨萌を覗きこんだ祐希より先に、梨萌が口を開いた。



そこから発された言葉は一言。





「お腹、減った」


「……は?」




診断結果

名前:篠宮梨萌

症状:ぶっ倒れ

原因:朝ごはんを抜いた空腹によるもの




「えーと…。俺のお昼ご飯いります?」


「…(こくっ)」




処置:おにぎりを二個処方
二口で平らげた
その結果、復活



……。



◇◇◇◇



(あー、サイアク。
仮にも私女子なのにさぁ。なんで空腹で倒れるのよ)



仮にも女子なら背負い投げをまずするな、という思考は梨萌にはないらしい。



なんというか、女子として、というものの軸がずれている。



そういえば、と梨萌は思い出す。


「浅羽のお昼ご飯、私なんか買おうか?
おにぎり貰っちゃったし」



「パンがあるんで別に…。
あ、そーだ」




すると祐希も何かを思い出す。



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