あと、2分くらい。
それは、清水さんが学校に来るまでの残り時間。
大抵、この時間帯に来る。
どんな顔をして会おう。
それが、今の俺の最大の試練だったりして。
彼女を意識しだした途端、どんな顔をして会えばいいか
分からなくなってきた。
……まぁもうどうにでもなればいい。
ガラッ
清水さんが、教室に入ってきた。
一瞬、ほんの一瞬静かになる教室。
俺の時と同じだ。
まぁ、同じ時間帯に2時間も許可も知らせもなく
保健室にいったら噂にはなる。
それと同時に、あの先輩達の件も噂できっと流れているから
冷やかしてくる人はいなかったけど。
彼女は、まだ気分が優れないのか少し顔を赤くして
こちらにやって来る。
そして、椅子に座り
『お、おはよう』
と、少しぎこちない笑顔で挨拶を普段通りしてくれた。
「おはよ」
意外にも、普通に返せた。
そういえは、彼女に要件を伝えなければいけない。
「東先生が、後で二人で職員室来てだって。昨日の無断一時欠席のことで」
『そうなんだ。分かった。次の休み時間に行こ』
「うん」
本当に、いつも通りのテンポ。
いつも通りの、日常。
それが、一番心地いいことに、今あらためて気づいた。
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