下の子の思い
優奈side






優姉が恋してるのは、相談されたあの日に気づいた。

だって、顔がもう恋する乙女って感じだったもん。

優姉気づいてないだろうけど、『その人』の話するとき顔
ほころんでたし。



でも、今日はちょっと残念な事あったのかな。
帰ってきた優姉、ちょとしょんぼりしてたし。

『その人』となんかあったんだろう。

それにくわえて、時々ぼーっとして壁にぶつかってるし。

多分、自分が『その人』の事好きなのようやく気づいたんだろう。

鈍いなあ。

それ、この前ぎりぎりまで言っても気づいてなかったくらいだしね。





「優姉。前、壁だよ?」

『え・・・。あ、ほんとだね・・・』



本日5回目の注意なのですが・・・。

ほんと、分かりやすすぎでしょ。

でもまあ、この話は優姉と『その人』の事情だし、私が口出しする事じゃ
ないから黙っておこう。

でも、『その人』がどんな人かは見てみたいなあ。







きっと



いつかは、私に相談事なんてしないで



その人に悩みを告げるでしょう








「さっさと、告れば?」


「ふえ!!な、なんで優奈が知って・・・!」







でも




そんな日が来ても悪くないかな、なんて





思ったりもするんだ












あ、優姉のためにアイスでも買いに行ってあげようかな。











◆◆◆◆◆




祐希side





春に、授業に悠太が連絡なしで来なかった、と涙目で伝えられた
時はちょっと驚いた。

千鶴と要は、俺以上に驚いてたけど。

優佳も授業に来てなかった、って聞いたときは俺も結構驚いた。

でも、きっと彼女との間に何かあったのは想像できた。



だから



「悠太ーー」

「・・・・何?」


顔に貼られた絆創膏の意味さえも教えてくれない悠太には
ちょっと腹が立つ。

きっと、俺が気になってるの気づいてるくせに。

一緒に帰る道は、いつもより長く感じる。

悠太が無言のせいだ。

喋りかけても、一言二言の返事しか返ってこない。



つまらないので下を向いて歩いていると





どんっ




「あ、すみません!」



女の子にぶつかった。

この人・・・



「ミニ優佳?」

「は?」



そうやって顔をしかめるものの、その女の子は優佳に似ていた。

背はちょっと小さいけど。

優佳、って名前を聞いた途端に悠太はそっちを向いた。



「優佳は、私の姉ですが。・・・あ、同級生ですか?」

「あ、はい」

「まさか『その人』、なわけないはないか」



小さく呟く。



「え?」

「あ、いえ。なんにもないです」




『その人』




きっと、それは優佳とこの人との間で使われている言葉で


妹に話すほどの人




それは悠太だって、すぐに分かった。




「それ、多分悠太ですよ」


小声で悠太を指していう。



「え!そ、うなんですか・・・」



偶然に驚いている妹さん。

悠太は意味が分かっておらず、首をかしげている



「あの、こちらの方は姉をどう思って・・・」



妹さんも小声で聞く。



「きっと、好きですよ。」



その答えに、ほっとした顔になる妹さん。



「早く優姉も伝えたらいいのに・・・。
ま、私はうまくいくまで見守るつもりですけど」

「俺も、です」

「じゃ、私用事あるので。
それでは」




去っていった妹さん。



「何こそこそ話してたの・・・」

「えー・・・。別に」

「ケチ」

「そっちもでしょ」






照らされた夕日の中


あと何回、君と帰れるのだろう


いつかは、君は恋した相手と一緒に帰ることだろう






「応援は、してあげる」



「・・・気づいてんの」







でも




そんな日が来ても悪くないかな、なんて





思ったりもするんだ








それぞれの、下の子の思い



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