すーすーと小さな寝息を立てて、俺の胸の中で眠る清水さん。
キーンコーンカーンコーン、と5時間目を告げるチャイムが鳴る。
まあ、もう今日は授業を受ける気はしないので別に
焦りはしない。
「で、どうしたらいいのやら、って感じなんですが」
俺の胸にうずくまって、座りながら寝ている清水さん。
この姿勢は寝違えそうな気がする。
とりあえず、ベッドに運ぼう。
えーっと、ごめんなさい清水さん。
心の中で誤ってから、背中と足に手を入れて、俗に言うお姫様だっこ
でベッドまで運ぶ。
無防備な寝顔。
やわらかそうな髪。
すべて、手で触れられる距離なのに、触れられない。
きっと、壊れてしまうのが怖くて。
この関係が。この距離が。
だから君に言えないんだ。
「好きだよ」
この言葉が。
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