boy meet girl
『失礼します!・・・ってあれ?』


消毒液の匂いが漂う保健室は、無人だった。


「あ、先生出かけてるっぽいね」



悠太が見ている咲のホワイトボードには
今日は用事で保健室の先生は休みです。重症の場合は教員室まで。
と書かれていた。




『えっと・・・。じゃあとりあえず、応急処置はしよう!』



優佳は近くにあった救急セットを掴んで、悠太と面と向かう
ように座る。


ピンセットで摘んだガーゼに消毒液を付ける。



『えっと、染みるかもしれないけど、ごめんね』



悠太の傷口にガーゼをあてる。




「・・・慣れてるね」

『妹がやんちゃでね。いっつも遊ぶたび怪我してたから。
もう特技、みたいになってるの』



ポンポン、と2、3回やってから、絆創膏を救急セットから
取り出す。



台紙をはがし、悠太の顔に貼る。




『うん。これで2、3日くらい絆創膏貼ってたら
治ると思う・・・よ』






ぽつ




手当てが終わった瞬間、優佳の涙腺が緩んだ。





「清水さん?」

『ごめん・・・。私の性で顔にケガして・・・』



止まらない涙を手でぬぐう。



「でも、清水さんが呼び出されたのは俺の性でしょ?
なら、清水さんに非はないと思うけど」



優佳の背中を、とんとん、と悠太は優しく叩く。









あぁ、この人は



いつでも本当に優しい。






『ちょっと、胸貸してもらってもいい?』






だから、私は












彼に恋をしたんだ。







「どうぞ」



優佳は悠太の胸に顔を預ける。



暖かい、落ち着く香り。




優佳はそのまま、緊張の糸が切れたかのように眠りの世界へと
誘われた。





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