安心と怒り
頬を叩く音




音は聞こえた




でも、なんで、叩かれた感触がないんだろう






私はそっと目を開く。


すると、私の目の前には見覚えのあるさらさらな
茶色い髪があった。




「ゆ、悠太くんっ!?」




そう、浅羽くんだった。


私は驚きで、目を見開く。

なんで彼がここに・・・?

というか、さっき彼女達に叩かれたのもしかして・・・




「大丈夫?清水さん」




こちらを振り向いた浅羽くんの頬は赤く腫れていて。

私をかばったから、ということは見ただけで分かる。



『な、な、なんでここにっ・・・』

「今日天気いいのに清水さん屋上来ないから変だと思って。
それで、クラスの人に話聞いたら裏庭行ったって聞いたから」

『そう・・・。それより、ほっぺ真っ赤だよ!!?
大丈夫!?』

「俺は大丈夫。それより」



浅羽くんは先輩の方を向く。

先輩達は困惑した顔になっている。



「ち、ちがう。あのね、浅羽くんこれはっ!」



「これ以上」




そう言った悠太くんの声はいつものトーンだったけど。




「これ以上、清水さんに関わらないでほしいんですけど」




雰囲気が、まるで別人の人みたいだった。




「――っ、皆行こっ」



その様子を察したのか、先輩達は顔色を変えてどこかへ
逃げていった。




「っ」

『わ!浅羽くんほっぺ切れてる!!』

「あの人達爪長すぎでしょ・・・」

『えーーっと、とりあえず保健室行こう!』



私は浅羽くんに腕を引き、急いで保健室へと向かった。

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