We love gossip
噂というのは尋常な速さで進むもので。


噂というものは大体どこかが違うもので。






「優佳って、悠太くんと付き合ってるの!!?」

『えぇぇぇ!??』



朝、クラスメイトの女子2人にそう言われ、持っていたノートを
つい落としてしまう優佳。


『な、なんでっ・・・』

「だってさ、昨日私の友達が浅羽くんと優佳が相合傘して
帰ってくの見たっていってさー」




(だから今日は何となく視線が痛かったんだ…)



そしてちらりと周りを見る。

みんな、聞いていないようでしっかり聞き耳を立てている。

その噂はもう、最低でもクラス中には回っているのだろう。




右隣の悠太と、悠太と仲のいい春はまだ学校には来ていない。


これは、来る前に早く答えた方がいいだろう。




『付き合ってなんかないよ。
ただ、昨日、傘なかったから入れてくれただけで……』



手を繋いだ事は言わなかった。
多分、そこまでは皆知らないだろうと思ったからだ。



「なーんだ。つまんないのぉ。
優佳だったら悠太くんとお似合いなのにぃ」


女子2人はがっかりした顔をしながら優佳から離れていった。


どうやら手を繋いだことは知らないようだ。


周りで聞き耳をたてていた者もつまらなそうな顔になる。



「なーんだ、とかいいながら内心安心してるくせにね」


優佳に聞こえるくらいの小さな声で右隣の席のアサミが言った。



『浅羽くんモテるからね』

「まぁ、このクラスの女子の大半はあいつ好きだしね。
私は理解できないけど」

『アサミちゃんは他に好きな人いるんだっけ?』

「うん。学校外にね。
……あんたは?」


『私?何が?』


「……やっぱいいわ。私人の色恋沙汰に関与するキャラじゃないし」

『??』



アサミはそれ以上は何も言わなかった。



(優奈といいアサミちゃんといい、意味不明なところで
話止めるんだから・・・)




優佳がため息をつくと同時に、春と悠太が来た。


「おはよう清水さん」

『あ、おはよう・・・』




昨日のことなど忘れたかのように挨拶をした悠太に
少し戸惑いながらも優佳は挨拶を返す。



(ま、気まずいよりは、いっか)



そのまま、悠太と適当な会話をする。




そんな優佳と悠太の様子を、廊下で睨むように見ていた
人物がいた事を優佳は気づかないでいた。




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