1stバトル
■ ■ ■
誰もが息を呑む、ウォーゲーム第一試合。
真剣な顔で進み出た、アルヴィスとその相手、仮面を付けたレノの間で、ポズンが声高らかに宣言する。
「1stバトル、第一試合はクロスガード、アルヴィス対レノ――」
げしっ。
緊張感を地の果てまでもぶっ飛ばす、そんな間の抜けた音とともに、
突如、レノの頭に飛び蹴りが決まった。
「ここで俺が登場!!やっほーアルヴィス!!」
「ぐえっ(レノ死亡)」「?!」
「なっ、あ、あなた様は、ゼノウ――」
「ごめんポズンっ!でも俺耐えられなかった許せ!!」
「なっ……お、お前、は、」
「やっほーアルヴィス!って2回目か!!俺だよ俺、覚えてるだろ?!えっ覚えてない俺のこと?6年前、ファントムの隣ですっげーやる気なさそうにぼーっとしてた俺、ナイトクラスで名前はゼノウ、もっかい言うけど名前はゼノウ―−」
「に、い、さ、ん!!」
グサッ。
会場の大混乱と観衆の困惑を、さらに海の底まで深めるようなそんな音とともに、
べらべらまくしたてていた少年の頭に、突如ダガーが突き刺さった。
「ったーー!!いってぇっての、ミモ!!」
「私は胸が痛いですー兄さん。何公衆の面前で恥ずかしい登場かましてくれちゃってんですかバカですかー?いえバカですね、とりあえずこの場は下がるんでポズン、申し訳ないですけどあとよろしく頼みます」
「……へ?あ、はい。っていやあの、ミモさ、」
「アンダータ、レギンレイヴへ」「えっちょっと待て我が妹、兄の感動の再会を」ブンッ。
あとに残されたのは、呆然と佇むポズンと固まる観衆、そしてこめかみを押さえるアルヴィスに、間抜け顔を晒すメルの面々。
そして、地面に転がりぴくぴくと痙攣する、レノの姿。
(「……また、会ってしまった……」
「アルヴィス、なんだあれ?!誰だあの不気味なほどにフレンドリーなチェスは?!」)