完パニ! | ナノ



はじめに

■ ■ ■


 まずは、すんごいくだらない私の兄と、とんでもなく変態な私の上司の話から、始めようか。




「今日もかわいいねミモ、」「はーい死んでください」

 かました蹴りはあっさり避けられた。くそ、むかつく。

「暴力的なところも僕好みで好きだよ」
「さらっと変態発言しないでくれますー?」

 笑顔とジト目を同時に行うという奇跡の表情をしてみれば、それはそれは良い笑顔が返ってきました。ほんと死にたい。
 誰かこのネジ抜け司令塔を抹殺してくれないかなあ。ああでもこの人、生き返っちゃうんだっけ?そういえば。

「明日はいよいよウォーゲーム、の始まりでしょー?とっと寝ろよこの屑上司」
「やだなあ、ミモ。口が悪くなってるよ」

 ニコニコしながら完璧なツッコミ。当たり前だろ、お前をイラつかせるためだけにやってるんですよこのアホ上司。

「ところで兄さん知りませんー?あの人、行方知れずなんですケド」
「ああ、ゼノウ?それなら――」

 ますます笑みを深めたファントムを見て、私は嫌な予感を覚えた。


「あそこ(玉座)でのたうちまわってるよ」
「……あした……!やっと、明日……!!」


 ファントムの指さす先を見て、私は一気に落胆した。
 急速に萎えていく私の顔を見て、ファントムはそれはそれは愉快そうに笑う。

「相変わらず、君のお兄さんは6年前からアルヴィス君が大好きみたいだねえ」
「……死ねアホ兄……」

 私はげんなりため息をつき背を向けて、悶えるアホ兄ともすっとぼけた司令塔とも別れを告げた。

「……やっと、やっと明日、6年ぶりにアルヴィスを見られる……!」
「……なんっで敵なのに、んでもって男なのに、惚れちゃったりしてるんですかねえ兄さんは……!!」

 ……告げた、はずだった。




 これは、そんなナイトクラスの兄妹2人が好き勝手してみたり怠惰に過ごしてみたりする――

 つまり、そういう非常にくだらない話、なのである。





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