背徳の華 | ナノ



華は枯れ消え

■ ■ ■


「……沙良、君はまだ目覚めないね」

囁く綱吉の前、ベッドで横たわる1人の少年。
本来なら、年齢上「青年」と呼ぶのが正しいのだろうが、何度見てもやはり彼は少年にしか見えない。
細く、脆くあどけないー目を惹く、少年。


「華は、枯れゆくーけれど、新しい芽を咲かすんだ」

朗々と、語るように言葉を紡ぐ綱吉に、
反応は何ひとつ返ってはこない。
それでも、と綱吉は微笑んだ。
例え、彼が二度と目を覚まさなくてもー
きっと、自分は待ち続けるだろう。


「……沙良。また、来るよ」


ふわりとしたベルラインに身を包み、
白いフレアをはためかせ、
数多の敵を撃破しては微笑みを浮かべる、
"ボンゴレの華"と呼ばれたー彼のことを。









ふわり、窓際のカーテンが揺れた。
先ほど出て行った青年が閉め忘れた窓から、穏やかな風が入り込んでくる。
その先、ベッドで眠る少年の眉がーぴくりと、動いた。



「……つな、よし…?…むくろ、ひば、り……」




緩々と、細くぼんやり開けられた瞳はー

失った"華"の役割を示すかのように、
深い黒に濡れ光っていた。






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