望んでしまったことへの罰を
■ ■ ■
「英斗……?」
「恭弥」
名前を呼ぶ。苦しくなっていく呼吸を、ごまかすように息を呑み込む。
けれど空気の代わりに鉛でも飲み込んだかのように、余計喉元が重たくなっただけだった。
「ごめん、ごめん、なさい……。何度言ったって足りない、取り返しようもない、けど……」
「英斗、一体何を、」
肩を掴んだ雲雀の手もまた、震えていた。それとも自分の全身が震えているのだろうか。
気を抜けば今にも溢れそうになる嗚咽を飲み下して、英斗は必死で顔を上げた。
動揺に満ちた雲雀の黒い瞳と目が合う。途端、声をあげて泣きたくなった。
ーーいかないで。
だめだ。そんなことを言いたい、わけじゃない。
もうだめなのだ。自分のわがままで恭弥を呼んだ、恭弥のいる日々を望んだ、契約をした、縋った、求めた、笑い合った、すきだと言った。
でも、それが恭弥を苦しめていたなら?
きっと恭弥は気付いているのだ、この日々をおかしいのだと。彼は聡くて賢い。本当はこんな日々はもう無いもののはずだと、彼自身気が付いているに違いない。
だとしたら。
だとしたら、もう――自分に言えるべき言葉は、ひとつしかない。
「……恭弥」
黒い瞳が大きく開かれる。今にも泣きそうな自分の顔が、いびつに映っていた。
「……あなたを、生き返らせて、……ごめんなさい」