Roommate! | ナノ
ルームメイトあるある?そのに

「悠馬くん!」
「なんですか六道先輩」
「今日の服、どっちがいいと思いま」「右」
「君今見てませんでしたよね?!ねえ欠片も見てませんでしたよね?!」

 ため息をつき悠馬はしぶしぶ顔を上げる。ハッキリ言おう、心の底からどうでもいい。

「俺はあなたの私服より、目の前の課題で頭の許容量がいっぱいなんです」
「ひどい」
「真実」

 机に広がるのはやったらめったらなっがい文章。この中身を追求し登場人物の心情を解き明かす読解力より、縦横無尽に暴れまくる先輩2人の統率力が欲しいと日々切に願う悠馬にとって、現国はただただ面倒な科目、それに尽きる。

「そう言わずに!ねえ!」
「うるさいな、どうせどっちも、」

 似たような。そう言いかけ目を向け、向けて、――絶句した。

 目の前、六道骸が広げているのは、左手にネクタイ右手にネクタイ――ちなみに、身につけているのはやたら暗い色をした寝巻きである。

「……六道先輩、俺、他人のファッションセンスにケチ付けるつもりはありませんけど、パジャマにネクタイは、さすがにいち男子高生としてどうかと」
「……はっ?!い、いえ違いますよ!寝巻きのままがないでしょう!」
「あ、ですよねさすがに安心しまし、」
「裸に合うネクタイはどちらかと」
「今すぐ俺の前から消えろください」
「敬語がおかしな事になってますよ君!」

 物理的に、と悠馬が言い終えるより早く、骸は綺麗に床へ沈んだ。


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