はじめまして、少年M
■ ■ ■
彼は、突如応接室に現れた。
『こんにちは、並盛風紀委員長さん。いや、この並盛の秩序、って呼ぶべきかな』
にこり、笑う顔は無邪気そのものだ。
窓枠に手をかけ、座り込んでいるのでなければ。
『……君、誰?』
気が付かないとはうかつだった。雲雀は瞬時にその手を閃かせ、窓枠に乗る少年へとトンファーを突き付ける。
一般人ではないのは明らかだった。少なくとも見た目そのままの14、5歳、というわけではないだろう。いきなり窓からこの部屋に乗り込んでくるくらいなのだから。
『俺?俺は……んーと、この国の言語だと……あ、そう、少年M、ってとこかな?』
『ハ?』
『うん、それでいいや。M、って呼んでください、並盛の秩序』
『…何その名前。あとおかしな名前で僕のことを呼ばないでくれる』
『じゃあ、委員長で』
にこ、と微笑んだ顔はやはり無垢であどけない。だが雲雀は愛武器を握る手に力を込めた。
この少年――只者ではない。
『……大体、僕に何の用』
『ああ』
思い出した、みたいな声を出しておきながら、その瞳は少しも揺らがない。変わらない。
まるで計画通りかのような平然さで、彼は、Mと名乗った非常に奇妙な少年は――すっと目を細めた。
『……まもなく、この並盛が壊れます』
にっこり、彼は笑むと手を差し出した。
『俺と手を組みませんか?……並盛風紀委員長』
敬語系の少年が書きたかった。
ここから黒曜編突入する展開でした。なぜMにしたかといえばただ語感が良かったのです……。