Blood&Tears | ナノ
Ending
「…瑠久、体の具合は」
「平気だって。もう全部治ったし」
ほら。そう言って笑えば、疑わしげな目つきながらも雲雀の頬が緩む。
その様子を見て、瑠久もほっとした。
むしろ骸と全力でやり合ったらしい雲雀の身体の方が心配だったが、当の本人はいたって平気そうだ。包帯ひとつしていない。

「…でも」
ぽつり、呟いた雲雀が、そっと瑠久の首元をなぞる。
そこにあの日の痕は何もない。なめらかな、白い肌。

「…瑠久、君はどうして六道を、」
「はいストップ」

にっと笑って、瑠久は雲雀の唇に人差し指を押し付けた。

「んむ」
「それ以降は禁句。言ったろ?」
「ん……」

不服そうな声を出しながら、雲雀はしぶしぶといった態で口をつぐむ。

「それにあれから骸、姿現さないし」
「…また来たらどうするつもり」
「どうするって?」
「…だから、アイツがまた僕の体を使って、」
「そんなこと、しないよ」

一瞬、瑠久の顔を見つめー
雲雀は、大きなため息をついた。

「…ねぇ。瑠久」
「ん?なに」
「君、まさか浮気してないよね」
「…はぁ?!何言って、」
「じゃあなんで断言できるの」
「それは……だって、骸は友達だし」
「あんなことされといて、友達、ねえ」

フン、とたいそう気に食わなさそうな顔で鼻を鳴らす雲雀に、瑠久は小さく笑うとその頬に唇を寄せた。

「!」
「大丈夫だって。俺、恭弥が1番好きだから」
「…ふん。当たり前でしょ」
「そういう横暴なとこも、好き」
「…あっそ」
「そのそっけないとこも、」
「もう黙って」

ぺちん、となんとも間抜けな音とともに視界が手で塞がれて、
次の瞬間、やさしく唇が重なった。



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