Blood&Tears | ナノ
The worst ending
恭弥!


目が覚めた。
そんな気がした。

そんな訳はない。
まだ昼だ。風紀の仕事をこなしていたのだ。
昼寝をした、そんな覚えはみじんもない。

なのに。


「……ッ?!」


衝撃が、走った。


とっさに手を放す。弾かれるようにして飛びすさった。
なんで、
なんだ、これは。
「けほげほっ、かはっ、ゲホッ、」
途端、顔を横に向け咳き込む瑠久。
体をふたつに折り、床で悶えるようにして噎せ返る彼の姿を、呆然と見つめた。
酷く苦しげに咳き込む彼の、細い体。
首元を押さえ、瑠久はきゅっと目を閉じ肩で息をする。
骨張ったその肩は、痛々しいほど震えていた。
その肩に、その体に、その首元に、


自分は今、何をしていた?


「…ッ、はっ、ケホッ…」
雲雀がはっと我に返れば、青ざめた顔の瑠久がフラフラと立ち上がるところだった。
喉を押さえたままの手は、未だに離れる様子はない。

「…瑠久、」
呼びかけた自分の声は、驚くほどに掠れていた。


今、自分は、何を。


「きょう、」
大きく目を見開いた瑠久が、
一瞬、なぜか安堵したように顔をゆがめた。


え?


次の瞬間、
その体が、人形のようにあっけなく崩れ落ちる。


「瑠久!!」


思わず叫んだ雲雀の先、
床に倒れ込み意識を失った瑠久の首元には、

くっきりと青黒い痕が、白い日光に浮かび上がっていた。



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