夢の世界に溺れる | ナノ
ニガテなものと向き合う時
 つい――ほんの少し前、ドロシーたちと交わした言葉がリフレインする。

『……シー、あんたああいうの苦手なの?』

 苦手――そうだ。どうも、俺は幼い系がダメらしい。
 で、今俺の前で立つ相手は――


「……ロコ、あなたに会うのは2度目ですね」


 俺の半分の背丈しかない、小さな少女の姿をしていた。

△▼


「……やっばい、かも……」
「同感だ」
「えっ?!どうしたんだよドロシー、アルヴィス?!」
「何があかんのや?」
「「いや……」」

 先ほどのアクア戦を思い出し、ドロシーとアルヴィスはそろって微妙な顔つきをした。
 笑っていいのか深刻な顔をすればいいのか――非常に判断に迷う場だ。

「「……ロリっ子が相手、か……」」

△▼


 最悪だ。

「ネグゼロ!」
「っ、ちっくしょ、」

 何が最悪ってタイミングが最悪だ。
 よりよって、ロリが苦手だと知ったその瞬間に、幼女相手にするとか――不運以外の何ものでもない。
 間一髪、俺が無理やりダークネスアームの呪いを突破すると同時に、黒い光が足元を直撃。
 危なさすぎる。いつもならもうちょい余裕あるんだが。

「……安心しいやシーちゃん! その子本当は32歳やで!」
「シー! 目つぶって戦うのはどーだ?!」
「得意の幻覚で筋肉男に相手の見た目変えるとかどうっすか?!」
「外野うるせぇ!」

 何の得にもならない仲間の声援が背後より。くそ、アルヴィスとドロシー、話しやがったな。

 ロコ、だっけ――相手はなんとなく俺の動きがぎこちないのを悟ったのか、これでもかと言わんばかりに猛攻撃を仕掛けてくる。
 2ndバトルのあのナナシ硬直作戦はどこいったんだよ。なんで鎌使ってんだ、しかもそんなバカでっかいの。

「ちっ」

 ただ鎌を避けてダガーで応戦してるだけじゃあ、キリがつきっこない。
 俺はイライラと舌打ちをしてーアームを発動させた。

「!」
「別に苦手っつったって――」

 中指で光る、銀のリング。


「――そんな程度で、俺は揺らぎっこねえんだよ!」


 瞬間、足元が爆破した。


- ナノ -