夢の世界に溺れる | ナノ
次なる相手は
「お疲れギンターッ!」
「ありがと……ってうおおおシー?!」

 バターン、と盛大な音がして氷の地面に倒れこむ。ギンタの後頭部からかなり痛そうな音がしたけどまあ大丈夫だろう、バカは石頭って言うし。あれ言わない?

「〜っ! いてえってのあほシー!!」
「いやあびっくりして。ギンタすげぇな! あんなに魔力高かったのかよ!」
「わかったわかった! だからどけって!」
「ギーンターンっ!!」
「のわーっドロシー!!」

 すぐさま飛びのいた俺の後ろから、仰向けで転がるギンタの上へ乗っかる魔女。
 そのままうーんうーんとうなるギンタとハートマークを飛ばしまくるドロシーを眺めながら、俺は苦笑して背を向けた。

「……さて、行きますか」

 ギンタは勝ったし、安泰安泰。
 もう他に出場していないメルはいない――つまるところ、俺の出番だろう。

「相手は、誰かな?」

 一歩踏み出せば、同じくフィールドへ進み出る相手。
 目深に被ったフードが、ぱらりと後ろへ落ちるのを見て――


 俺は、寒気に思わず身を震わせた。


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