夏が来なければいいと、いくども願った。
時間なんて過ぎなければいい、とも。
今も、そう思う。
「…っ、あ、」
「…もっと、声、聞かせて」
「あっ、ん、」
耳元を熱い吐息が掠める。
あつい、あつい、
まるで、夏の温度みたいな。
「っ…きょ、やっ、あ、」
「すき、」
不意打ちで零れる、雲雀の言葉。
目の前の唇からとろりと落ちた囁きに、
無意識でその首に腕を回す。
「…積極、的、じゃない」
「んっ、ぁ、はあっ、」
全身を貫く快感に、
ユイは強く腕を引いた。
雲雀は慣れた動作でこちらの顎をすくい取り、
深くあまく口付けをする。
「…あん、っ、」
「っ、…」
この時間が、ずっと続けばいい。
このままずっと、永遠に。
ユイはシーツを強く掴んだ。
この瞬間を刻み付けるかのように。
「…きょう、や、」
だいすき、だよ。
だから、
どうか、
なかないで。