貴方と私の風紀な日々 | ナノ
突発的なネコミミday(上)

▼ ▼ ▼


朝目が覚めたら、


猫耳が生えていました。


「……夢、これは夢、まちがいなく夢…」
がくがくしながら呟きます、というより唱えます。いや夢でしょう、これは紛れもなく夢。いや夢であってください頼みますから。本当に。

……というくだりを1時間弱は行っているのですが、お約束通り一向に状況は改善する様子はありません。起きた当初から私の頭にきっちり生えていた焦茶三角ふわふわ毛並みの(かなりフィット感のいい)猫の耳は、何をどうしても消える気配は、ありません。はい。


「や、やばい…ですね」


洗面所の鏡をのぞいたまま、私は呟きました。
やばい、非常にやばいです。何がやばいってこんな状況で学校に行ったらまず間違いなく委員長に咬み殺されるのは当然ですが、それよりもアレです、これはキャラ崩壊の大ピンチです。
今までクールに冷静に理知的に(?)生きてきた天原唯斗の14年間が、今日この1日だけで社会的に死んでしまっては困ります。だいぶ何言ってるかわからなくなってきましたが、つまり要約するとコレです、
『非常にヤバい』。
…というよりそもそも、なんで猫耳が生えるんです?至極まともに生活していたら、こんなこと起きるはずありません、よね?
そこで思い当たりました。


「……私、そういえば至極まっとう、と呼べる生活していませんね」
自分で言うのもなんですが。


だって傍らには常に凶器を振り回す大暴君、さらに何かと騒がしい綱吉を始めその右腕の獄寺隼人に山本武、ミステリアスがすぎるリボーン、そして変態ヤブ医者(これに関しては獄寺と意見が一致しました)、さらにぶっ飛んだパイナポーに可愛すぎる凪ちゃん。
いえ、凪ちゃんは何も悪くありません。ただこの地球上に存在してはならないレベルの可愛さ、というだけで。

そこまで思い浮かんだところで、これはもうただ1人に聞くしかない、という結論に至りました。


「……リボーンに、聞いてみましょうか」


あのイカした赤ん坊なら、何か知ってるかもしれません。







「ああ、そりゃ俺の試作弾だな」
「あなたのせいですか!!」


結論:知っているどころの話ではありませんでした。


「おめー昨日暴れ回ってただろ」
「暴れ回ってなんぞいませんよ…」

それ委員長と勘違いしてませんか。

「何言ってんだ、並盛の裏通りで他校のやつら叩きまくってただろーが」
「……ああ、あー…」

すみません思い当たりました。

「…リボーン?誰と話して…って、天原さんっ?!」
「おはようございます綱吉、寝ぐせがタコの足みたいですね」
「お、おはようござ…ってなんですかタコ足って?!……じゃなくて!!」
1人くるくると百面相を繰り広げる綱吉。ほんとおもしろいですねえ。
「どうしたんです?」
「ど、どうしたじゃないですよ!なんで俺の部屋の窓にふつーにいるんですか?!」
しかもこんな朝っぱらから!と叫ぶ綱吉に、私は軽く肩をすくめました。
「リボーンに話があったんです」
「そーだぞツナ、だから邪魔すんな」
「なっ、なんの……て、」

そこで初めて、綱吉の目が私の頭へ向かいました。
おそらく正しく言うなら、

頭の上の、猫耳に。



「なっ、ねっ、ねこみみーっ?!!」



ほんと、いちいちおもしろいですよねえ、彼。






「…じゃっ、じゃあ、天原さん当分このままってこと?!」
「それは激しく困ります」
「そ、そうですよね、このままじゃ…」
「私のキャラ崩壊のピンチです」
「そこ?!そこなの?!」
もっと他に心配するところがありますよ!と叫ぶ綱吉にハンマーをちらつかせました。別に綱吉の騒々しいとこ、私は嫌いじゃありませんよ?ですが、さすがに話が進みませんからね。

「いや、昨日の夕方撃ったから…今日の夕方にでも元に戻るはずだぞ」
「ですが不覚ですねえ、撃たれた事に私が気がつかなかったなんて」
「お前元気に暴れてたからな」
「だから暴れてませんって、風紀を正していただけです」
む、と唇をとがらせれば、後ろで綱吉が「それ暴れると同じです…」と青い顔で呟くのが見えました。

「ケンカ売ってるんですか?買いますよ?」
「ひぃいいい!だからやめてくださいって!!」

ダメですね。綱吉の反応、私のツボみたいです。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -