媚薬効果で大パニック!(上)▼ ▼ ▼
「ああ、媚薬、って言やぁわかるか?」
今日は月曜日だから明日は火曜日だよな、
そんな軽いレベルでとんでもない宣言をされました。
「…なっ、何をしてッ、」
とっさに立ち上がると、ガシャン、とけたたましい音を立てて白いカップが床に転がりました。
学校の備品なのにヒビが入ったかもしれません、が、今の私にはそれを気遣う余裕はありません、無いです、ゼロに等しいです。
なぜって、なぜなら、それは、
「大丈夫だって、すぐ抜けるやつにしといてやったからよ」
なんでもない事のように言って、
目の前でコーヒーをすする白衣の男がいるから。
時刻は10分前、
このちゃらけた保健医に電話で(もちろん学校の内線で)呼び出された私は、気が進まないながら保健室へと参った、のですが。
今月の保健室利用カード、なるものを数枚手渡されて、こんなの私じゃなくてもそこらの生徒に押し付けて持っていかせればいいのに、と眉をひそめた時点で気が付けばよかったんです。
何か、怪しいことに。
「…なんて物を…ていうか、お茶誘っといて薬盛るとかどういうことですか、どんな神経してるんです」
飲まなきゃ返さねえぜ、とかなんとかとてつもなく恐ろしい事を言い出した相手に仕方なく、そう本当に仕方なく、私は出されたココアを口にしたんです…!
べ、別にいっしょに出されたサンドイッチに心が動かされた訳じゃありません。…本当ですよ?!
「いやー、1回そのすました綺麗な顔が赤くなるとことか見てみてぇなー、と思っちゃって」
唯斗っていっつも淡々としてるもんな、
とか言われても知りませんよ、それが素なんです。
ていうかそんなことより、
「ど、どうしてくれるんですか…!」
媚薬、がどういう物かは知識でしか知りません。
そっち方面に関しては経験の浅い(どっかのバカパイナップルにディープキスはされましたが)私は、それよりも知らないうちに変な薬を飲まされた方が不安です。
それ、のちのち変な後遺症出たりしませんよね?!
「安心しろ、俺は医者だ。そこらへんはちゃんとしてる」
「そ、そうですか…安心しま、」
せんね。
したらいけません、自分。
「っで、どうしてくれるんです?」
「うぉおお?!おまっ、動き早っ!」
シャマルの胸ぐらを掴み上げハンマーを突きつけると、相手は冷や汗を流しながら両手を上げました。
「なっ、なんなんだお前…ボンゴレが勧誘したがってんのもわかるな…」
「話逸らさないでください」
チャキ、と光るハンマーを喉元にあてがえば、
ごくり、と唾を飲み込むシャマル。
「…わ、わかった。責任取って…」
「…ええ、それでは…」
「…俺が、楽にしてやるよ」
制服のリボンに手を掛けてきた大バカに、
ハンマーを直撃させたのは言うまでもありません。