なんでもない時間が(山本)

「……なんかさ」
「おう」
「こーやってぼうっとしてる時間がさ」
「うん」
「……すんごい好きだなー、って、今気づいた」
「ハハッ、何だよそれ。でも俺も好きだぜ」
「お前は野球してる時が1番じゃねえの」
「んー、でもこうやってノンビリ空眺めてんのも、悪くないなあ」
「……ふうん」


大の字になって屋上に転がり、
ぼーっと流れていく雲を見る。



「……なんかさ」
「おう」
「…平和だなあ、って」
「ハハッ、何言ってんだよ雛香！俺たちはいつでも平和じゃん」
「…お前の思考回路に恐怖を覚える」




そしてそんなつかの間の平和は、
屋上へトンファー片手にやってきた暴君にあっさりかき消されたりするものである。