I want to bite you to death! | ナノ
写真(オール)
・10年後





「なぜこの時代にアナログなの」と雲雀。
「極限に燃えるな!!」が了平。
「いーけど照れくさいな」とはにかむのは山本。
「…ボスが、言うなら…」と遠慮がちなのがクローム。
「ボンゴレが言うなら」とこれまた似たようなことを言うのがランボ。
「いいっすね!撮りましょう10代目!」とノリノリなのが獄寺。
「大賛成!だって雛香のスクラップの材料に(以下省略)」が雛乃。
「いいよ、雛乃のかわいい姿が残る(以下省略)」が雛香。


「て訳で決定だな。集合写真を撮るぞ」
と、ツナの背中に飛び蹴りを食らわすのがリボーン。
「いてぇええぇええ」
「10代目ー!!」







「…しっかしなんでまたいきなり?」
「いいじゃん雛香、俺は好きだぜ写真」
「理解できないね。今ならいくらでもデータとして残せるじゃない」
「そんな夢のないこと言うなよ雲雀ー」
「てめえら!」

首をかしげる雛香に山本、口をはさんだ雲雀の前、ドンッと机を激しく叩く獄寺。

「…え、なに」
「10代目のなされる事にケチつけるんじゃねえ!!」
「あ、ハイ」

なんというか、もはや予想通りすぎて機械的に言葉を返すしかない。
気の無い返事をした雛香の横、たたっと駆け寄った雛乃が嬉しそうに、現像したての写真を兄に見せる。

「ねえねえ、雛香すっごく可愛いよ!」
「何言ってんだ、雛乃の方が可愛いに決まってんだろ」
「そこ、どっちでもいいから黙ろうか」
反吐が出るほど甘々な会話が始まる前にと、引き攣った笑顔でツナが割り込んだ。

「で、なんで急に写真だったんだよ、ツナ」
「や、俺が言い始めたんじゃなくて、リボーンが…」
訪ねた山本に、ツナは頬をかく。
「まあいいではないか!極限に良い写真だ!」
「……うん…」
騒ぐ了平とその隣、静かに頷くクロームという、真逆の反応を見せる両者。
そのどちらの手にも、写真が握られている。

「…ふん」
「何ひとり面白くなさそうな顔してんだお前は」
「この僕が群れることに我慢してあげたんだ。もう帰る」
「まったく、唯我独尊っぷりはいつまでも変わんねえな」
「なんなの君?ここで咬み殺してあげようか?」

チャッ、とすばやくトンファーをかまえる雲雀に、にやりと笑い銃を出す雛香。

「実を言うと面白い匣が手に入ってさ、…ちょっと試したかったんだ」
「…へえ。僕相手に試す、だって?」
「ちょっ、2人ともストーップ!」
「「君(ツナ)は黙ってて」」
「ハイスミマセンでした!…じゃねーよ!」

2人分の気迫に飲まれてうっかり謝ってしまったが、おそらくここは自分が引き下がるべきところではない。

「…もー、雲雀さんも雛香君も、血の気多すぎ…」
「ほんとっすねえ…おいてめぇら!10代目にご迷惑をおかけすんじゃねえ!」
「「君(獄寺)煩い」」
「…果たす…!!」
「お願いだからこれ以上不穏フラグ立てないで獄寺君!」

慌てふためくツナの前、
じりじりと対峙する2人に、怒りのオーラを放つ獄寺。
それを朗らかに見守る山本に了平、目をぱちくりさせ事の成り行きを見つめるランボとクローム。
むう、と口をとがらせた雛乃が、1人不満そうにぼやいた。
「いいなあ、雲雀さん……」





やっと威厳と風格の滲み出したツナを真ん中に、
10年の月日を越え集った皆の集合写真は、
あのリボーンですら認めたほど良いものであったとかなんだとか。



それは、珍しく穏やかな、とある日のひとコマ。



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