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第四話

ぬらりひょんの声だまは一度消えた。

声だまだけでは何もできないから

実体が来ることになったのだ。

再び未来とエンマ大王が

二人きりになった。

「早くここから出なくちゃいけませんね」

「そうだな。

ま、未来と二人きりなら

ここも悪くないが…」

エンマ大王は呑気にあぐらをかいた。

「大王様!

こんなときに冗談はやめてください」

「悪い悪い。

…冗談じゃないんだがな」

「え?」

笑った後エンマ大王は小声になり

未来は聞き取れなかった。

「なんでもねえ。

それより来たみたいだ」

エンマ大王がそう言うと

コツコツと足音が牢獄に響いた。

ぬらりひょんだ。

仕掛けを解いてくれる。

「あとは大王様のお力なら

打ち破ることなど

たやすいはずです」

「ああ!」

エンマ大王は霊力を放ち

鉄格子を破壊した。

同時に自分と未来に繋がれた

鎖も粉々にした。

「お迎えが遅くなりました。

未来も怖かっただろう?」

跪いたぬらりひょんは

心配そうに未来を見た。

「気にするな」

「そうだよ。

ぬらり、助けてくれてありがとう」

三人は一瞬笑いあったが

「それより邪悪な気の侵攻は速い。

急ぐぞ」

まだ手首に残った鎖を砕きながら

エンマ大王は真剣な表情になった。

「「はっ!」」

ぬらりひょんと未来の声が

綺麗に重なった。

「しかしどこへ向かいますか?」

未来の問いに

「幻夢洞窟だ」

エンマ大王は意味深に笑った。


to be continued

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