第六話


夕暮れの中

四人は赤く染まった町を眺めた。

「妖怪ウォッチも手に入ったし

これで玉藻前と戦えるぞ!

覚悟はいいか?」

イツキからは緊張が伝わってくる。

「どうせ一人ぼっちだし

やるさ!」

「俺もだ」

うなずいたイツキは

珍しく昔話をした。

イツキはお母さんを病気で亡くしている。

またお父さんも

悪い奴らにだまされてしまった。

「それでも親父は言ってたよ

『人の上に立つということは

その者たちの人生を背負う

ということだ。

だからお父さんは少しの後悔もない』

ってな。

過労がたたったのか

親父はその後病気でいっちまった」

「イツキ…」

イツキの過去をなんとなく知っていた

未来だったが

改めて聞くと、胸が締め付けられた。

イツキは涙をぬぐうと

急に立ち上がった。

「でも俺は

そんな親父を尊敬してるんだ!

いつか大きなことができる男に

俺はなる!」

イツキの顔にはもう悲しみはなかった。

「うん!

イツキならなれるよ。

私にも手伝えることがあったら

言ってね」

「ありがとう、未来」

イツキは未来の頭を

わしわしと撫でた。

「もう!子供扱いしないでよ!

私の方がお姉さんなんだからね」

そう言いながらも未来は嬉しくて

「悪い悪い」

イツキも笑った。

その後スーさんと名乗った

シンの守護霊と合流し

もう一度作戦会議をしに

高城邸に戻ることになった。

「なんだか変な感じ」

「変な感じ?」

歩いている時

未来がポツリと言って

シンがオウム返しに聞いた。

「うん。

これから戦うから

本当は怖いのに

今すごく幸せだなって思うの」

「あ!私もそう思う!」

タエがうなずいた。

「そうだな。俺もだ」

「仲間がいるからじゃないかな?」

「仲間…そうだね!」

シンの言葉に嬉しくなった未来は

三人をぎゅーっと抱きしめた。

「痛いぞ、未来」

そんなことを言ったイツキも

嬉しそうだ。

「イツキ!シン!タエ!

玉藻前を倒しても

ずっと友達でいようね!」

少し大きな声で未来は言い

三人はうなずくのだった。


to be continued







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