第十五話「契約書」


「もう遅すぎた、未来」

元の魔法使いの姿になった

ぬらりひょんは

人魚に戻った未来を

羽交い締めにした。

「未来!」

「さよなら、大王様」

叫んだエンマ大王にそう言い残して

ぬらりひょんは未来を連れ

海に消えた。

「くっ!」

「エンマ大王!どちらへ?」

急いで救命用のボートに乗ったエンマ大王に

コマ次郎が聞いた。

「今度こそ彼女を

失いたくないんだ!」

エンマ大王は叫んだ。


「待て!

魔法使いぬらりひょん」

未来の手を引いたぬらりひょんを

待ち構えていたのは

大ガマ王だった。

「話はウイスパーから聞いた」

「そう。

この子はもう私のものだ。

契約書もある」

ぬらりひょんは得意げに

契約書を見せた。

大ガマ王は杖を使って

契約書を消し去ろうとしたが

はじかれてしまう。

「無駄だ。

この契約書は誰にも破けない。

しかしお前がかわりに

身を差し出すのなら

喜んで交換してやろう」

「…」

大ガマ王は少し迷ったが

「未来のためだ」

とサインをした。

すると犬まろと猫きよに拘束されていた

未来は解放され

かわりに大ガマ王が

渦に閉じ込められてしまった。

「遂にやったぞ!」

ぬらりひょんは

大ガマ王の王冠と杖を手にし

高笑いをする。

「もうお前は用済みだ」

ぬらりひょんは未来を

始末しようとしたが

その腕に槍が刺さった。

それはボートから泳いできた

エンマ大王だった。

息をするためエンマ大王は海上に出て

未来も追いついた。

「エンマ!

ここから離れて」

「嫌だ、お前と一緒にいる」

二人はしっかりと抱き合ったが

そこに巨大化したぬらりひょんが

現れた。


to be continued







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