第十三話「花嫁の正体」


エンマ大王が乗った船が

夕日に照らされながら港を出た。

船の上で式を挙げるから

船も花で飾られていた。

(エンマ…)

未来はそれを見守ることしかできない。

(悲しいけど

エンマの幸せを願わなくちゃ)

未来はそう思いつつ

涙を流した。


「未来〜!」

船に未来がいると思っていたジバニャンは

花嫁の控室に入ろうとした。

「もうすぐだ」

「ニャン?!」

しかしいつもの未来らしくない声が聞こえ

ジバニャンは窓にとまった。

「もうすぐ未来も海も

そして地上も!

このぬらりひょんのものになる!」

声は確かに未来だった。

しかし鏡に映ったのは

魔法使いぬらりひょんだった。


ジバニャンが真相を未来に教えたのは

もう夕暮れだった。

『三日目の日没までに

キスが出来なければ

お前は…私のモノだ!』

夕日を見ながら

ぬらりひょんの言葉を思い出し

未来はエンマ大王を追いかけようと

海に飛び込んだ。

「未来!つかまってください」

ウイスパーが空の樽を投げた。

「頑張るずら!

きっと間に合うずら!」

コマさんが樽を引っ張り

足なのでうまく泳げない未来を

助けた。


「愛する者達よ…」

一方、船の上では

エンマ大王達の結婚式が始まっていた。


to be continued







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