第十一話「初デート」


翌朝。

未来とエンマ大王は馬車に乗った。

「そういや昨夜は、よく眠れたか?」

未来は何度もうなずいたが

(明日までにキスしなければいけない)

エンマ大王の唇を見てしまう。

「どうした?」

エンマ大王は不思議そうな顔をしたが

未来は慌てて首を横に振った。


二人が馬車を降りて城下町を歩くと

おいしそうな香りがした。

「食うか?」

エンマ大王が指差したのはみたらし団子。

未来がうなずくと

エンマ大王はお団子を未来に差し出した。

(おいしい!)

初めての味に未来は嬉しくなった。

「お!」

エンマ大王が何かに気づき

未来は固まった。

エンマ大王が未来の唇を

ぬぐったのだ。

「タレがついてたぜ」

エンマ大王は自分の指についた

タレをぺろっとなめた。


夕暮れの中、二人はボートに乗った。

力強くボートを漕ぐエンマ大王。

(夢みたいだな…)

未来はうっとりと見惚れた。

「せめてお前の名が知りたいな」

エンマ大王はそう言ったが

二人は困ってしまった。

「名前は未来でうぃす!」

そこにウイスパーが

姿を隠しながらささやいた。

「未来?」

未来は最高の笑顔になる。

「そうか!未来…いい名だ」

気がつけばどこかから歌が聞こえた。

「じゃあ…未来…」

ロマンチックなムードの中

二人は見つめあった。

黙ったまま次第に唇が近づく。

そして未来もエンマ大王も

目を閉じた時

(え?!)

ボートが転覆し

湖に落ちた未来達は

キスどころではなくなってしまった。

「大丈夫か?」

エンマ大王が未来を助けているのを

見ていたのは犬まろと猫きよだった。

二人がキスの邪魔をしたのだ。

「危なかったな。

こうなったら最後の手段だ」

それを自分の屋敷から見ていたぬらりひょんは

そうつぶやいた。


to be continued







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