第八話「取り引き」


「話は知っている。

恋をしているのだろう?

人間の王に」

「…はい」

緊張しつつ未来は

魔法使いぬらりひょんに

うなずいた。

「ならば私が

三日間人間になれる薬を作ってやろう」

「本当ですか?!」

未来は嬉しくなった。

しかし

「ああ。

ただし支払いはしてもらう。

…その声だ」

「私の声?!」

ぬらりひょんの申し出に

戸惑うことになる。

「おわかりかね、お姫様。

もうしゃべれないし、歌えない。

そして三日以内に王と

本物のキスをすれば

ずっと人間として暮らせる。

しかし三日目の日没までに

キスが出来なければ

お前は…私のモノだ!」

「いけません、未来!」

未来の背後でウイスパーが叫んだが

犬きよ達が体に巻きつき

それ以上止められない。

「でも声が出なければどうやって…ん!」

未来は途中でしゃべれなくなった。

ぬらりひょんが触手で

口をふさいだのだ。

「それは自分で考えろ」

そこまで言ったぬらりひょんは

未来の口を解放し

契約書を取り出した。

「さあ、どうする?」

「…」

未来は少し迷った後

キッと契約書をにらみ

サインをしてしまった。

「ふふ、それでいい」

ぬらりひょんがドクロの杖をあげると

風が起きた。

「風よ!

この娘の声を奪え!」

風が強くなった。

「さあ…未来、歌え」

未来は言われたとおりに歌った。

すると風は手の形になり

未来の声を命令通りに奪った。

次の瞬間

未来のヒレが人間の足になった。

未来は慌てて海上を目指した。

コマさんとウイスパーも一緒だ。

「ハハハハハ」

ぬらりひょんの笑い声が響いた。


to be continued







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