第九話「お土産」


エンマ大王とぬらりは

視察の為に町を歩いていた。

「ん?」

するとエンマ大王は

ある店を見て立ち止まった。

「これは…」

「大王様、どうされたのです?」

ぬらりが見ると、そこにはかんざしがあった。

小花が三つついていて可愛らしかった。

「ぬらり!これさ未来に似てないか?」

「未来にですか?

確かに言われてみれば…」

ぬらりもかんざしを見ていたが

ふと我に返った。

「大王様!

こんなところで道草をしている

場合ではないですよ!」

「なんだよ。

恋人なら土産ぐらい買っていけよ」

結局ぬらりはエンマ大王に言われるがまま

そのかんざしを買った。

「あれ、これは…」

するとエンマ大王は他の髪結いが目に入った。

赤くて髪を束ねるタイプのものだった。

「ほう…」

エンマ大王はしげしげと髪結いを眺めていた。


「エンマ大王!ぬらり!

おかえりなさい」

翌日、エンマ大王たちが屋敷に戻ると

未来が笑顔で迎えに出てきた。

「ただいま、未来!

やっぱりお前の顔見ると

帰ってきた!って実感するぜ」

「ふふ、エンマ大王ったら」

そう言って二人は笑った。

「そうそう、ぬらり!

なにか渡したいものが

あるんじゃねえのか?」

わざとらしくぬらりの方を見て

エンマ大王は言った。

「渡したいもの?」

「あの、その…」

しかしぬらりは

どう渡したらいいのか分からなかった。

「俺は春日のところへ行くぜ。

じゃあな!」

頑張れ!とでも言うかのように

エンマ大王はぬらりの背中を叩いた。

「なになに?渡したいものって?」

未来がわくわくしながら聞いてきて

ぬらりは懐からかんざしを取り出した。

「これは、エンマ大王が…

いや、未来に似合うと思って

土産だ」

ぬらりはかんざしを

未来に差し出した。

「私に?!嬉しい。

ありがとう、ぬらり!」

未来は想像以上に喜び

ぬらりは安心した。

「つけてみるね」

未来は長い髪をアップで結っていたので

まとめているところにかんざしを差した。

「よかった、似合っている」



to be continued







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