第十話「テーマソング」


未来は人間界にいた頃から

使っていた

音楽プレーヤーを

自分達の部屋で聴いていた。

そこにぬらりがやって来る。

「あ!ぬらり!」

「君は本当に音楽が好きだな」

微笑みながらぬらりは言った。

「うん!

今聴いてる歌は特に好き」

「そうか…では私も聴きたい」

「いいよ!」

そう言って未来は

イヤホンの片方を

ぬらりの耳につけた。

そして流れる音楽は

いつも支えてくれたのは

あなただという内容だった。

「これね、私達のテーマソングかな?

って思うんだ」

「テーマソング?」

ぬらりは不思議そうだ。

「だって妖魔界に来て

支えてくれたのは、ぬらりだよ。

私がいるって言ってくれたじゃん」

「ああ、そんなことも言ったな」

ぬらりもその時のことは

昨日のことのように覚えていた。

「未来…辛かったか?」

「え?」

見つめあいながら

ぬらりは聞き

未来は意味がわからなかった。

「突然妖魔界に呼ばれたのだ。

不安だっただろう?」

「うーん」

気がついたら音楽は

次の曲になっていた。

「辛くはなかったよ。

むしろ楽しかった。

ぬらりにどんどん

惹かれていったもん」

「私だってそうだ」

突然ぎゅっとぬらりは

未来の手を握った。

「ぬらり?」

「最初は君は

大王様の大切な客人だった。

だが…いつしか

抑えきれないほど

好きになっていた」

「私もだよ」

未来は幸せをかみしめ

ぬらりの胸元に

自分の顔をうめる。

ぬらりもそんな彼女を

優しく抱きしめた。



to be continued







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