第六話「しわのついたスーツ」
「なにしてるの?ぬらり」
タンスをごそごそと漁っているぬらりに
未来は声をかけた。
「スーツを探しているのだ。
仕事で必要になってな。
ああ…あった」
ぬらりは紺色のスーツを見つけた。
「あれ?
ここ、しわになってるよ。
私、アイロンがけするね」
「それは私が…」
「ううん!
アイロンがけ、得意なんだ。
やらせて!」
ぬらりのために何かができるのが
未来には幸せだった。
アイロンをかける未来を
ぬらりは見守る。
「なんだか…いい光景だな」
「いい光景?」
「君は本当に良妻ってことだ」
ぬらりは思ったことを口にした。
「そ、そんなことないよ」
未来は思わず照れたが
翌朝、スーツ姿のぬらりを見て
もっとドキドキするのだった。
to be continued
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