第一話B


「エミの家に行こう!」

未来が真っ先に思い付いたのは

同級生のエミだった。

「未来の親友で

元ジバニャンの飼い主ずらね」

コマ次郎が確認した。

「うん!

エミがどうなったか気になるんだ」

「じゃあ行くずら」

コマさんは先頭を切って歩き始めた。


「ここがエミの家か〜。

あまり変わらないけど…」

「どうしたの?未来」

エミの家の前で未来がつぶやくと

エミが家から出てきた。

「あ!エミ!

特に用事はないんだけどさ

元気かな〜って」

「昨日会ったじゃん。

私、クロマルの散歩に行くね」

「クロマル?!」

エミは黒い柴犬を連れていた。

「エミ…あの…」

未来は『アカマルは?』とは聞けなかった。

「ついでにこれも捨てなきゃ」

「え?」

エミはクロマルのリードを左手に持ち

右手には数冊束ねた雑誌があった。

「それは?」

「ああ、ファッション雑誌なんだけど

私、もうデザイナーは興味ないんだ」

「ええ?!」

エミの言葉に未来はショックを受けた。

「じゃあね、未来」

エミはそう言ってクロマルと歩いて行った。

「エミ…」

「ジバニャンが知ったら悲しむずらね」

コマさんが悲しそうに言った。

「と、とにかく!

エミには会えたし、これからどうしよう?」

「ケータに会うのはどうずら?」

コマ次郎が提案した。

「ケータ君に?」

「そうずら!気になるずら」

「うん!ケータ君のところへ行こう!」

未来もうなずいた。



第二話に続く







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