17.自惚れる(Lamento ライコノ)







時々不安になる時がある


ライは俺なんかいなくてもとても強いから

だからいつ消えるか分からない俺を捨ててどっかに行っちゃうんじゃないかって…

とても、とても不安になるんだ



「…っ…ゲホッ…ゲホッ」


弱っていく体に比例する様に俺の神経も弱っていっている気がする

リークスの記憶を背負う事になってもう5年の月日が流れた

いつ自分がじぶんで無くなってしまうのか分からない、けど…ライと生きたいと思ったのは俺の感情だ

それが支え


「…馬鹿猫」

「……ライ」


賞金稼ぎで各地を回っていた時は凄く楽しくって別れのことなんて考えていなかった

俺はライといられた事がとてつもなく好きだ


「…ごめん…」

「何…謝ってんだ」


弱々しいライの声に何時ものふてぶてしさはどうしたと言ってやりたくてもそんな元気はもう無くて

でも一つだけ、


たった一つだけ伝えたくて俺は最後の力を振り絞った


あ・い・し・て・る


声になったか分からなかった俺の意識はフッと遠退いたから


最後に見たライの顔を少し窶れてて、俺を心配していたのを感じたていた

唯一の賛牙だと言ってくれたライは暖かさを、温もりを、怒り以外の感情を俺に教えてくれた


愛してくれた


それが自惚れだったとしても俺はライに助けられた


だからいつか、


いつか…



また会えたら――




村に赤ん坊の声が響き渡る

それに村の猫達が耳をピクリと反応させ尻尾をピーンと立てた

そして次の瞬間には村は喜びの声に包まれた


産まれた子猫の名は"コノエ"


黒い耳と尾を持つ猫はかつて最悪をもたらすそう言われていただが…


村が歓喜に満ちた声を止めなかった

この猫がこの世界を救う猫なのだと誰もが口を揃えた


歓喜の声を上げる村の中にまだ青年になりきれない顔立ちの白い髪と尾を持つ猫がいた


その猫は何故か胸が苦しくなるのを感じていた

込み上げてくる感情を感じていた喜び、悲しみ、苦しみ、全ての感情が渦巻いてそして言葉が漏れた


「遅いんだよ…馬鹿猫」


自然と漏れた声にハッとした


知らない感情の疼きでも


心地いい感情――


これはあの産まれた子猫、"コノエ"と共に生きろと言うことなのか?

そう自分に問い掛けた所でどうにもならないと思っただが、感情のままに生きるのも良いかと思った


どうせあいつは"危険な事に巻き込まれる"


なら守ってやろう


俺の命をお前に預けよう


唯一の賛牙に―――





     -END-

自惚れると全く関係無い気もしなくないけど、とにかく一度書いてみたかったコノエの死…そして誕生でした><
Lamentoの中ではやっぱりライが一番良いよなぁと思う今日この頃でした。



2012.4.17 完成

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