15.待つ(LD ルキジャン)







待つと決めたのは何時のことだったか…

俺はボスの継承の時、アイツの"秘密"を知ってしまった



娘と妻を殺された経緯を


それから俺はアイツとまともに話をしていない

いや、俺がしないように避けているのかもしれない


本当は待ちたかったんだ


お前の口から真実を……




「ハニー、どうかしたかい?」

「…ダーリン、私に様かしら?」

「書類を届けに来ただけだよ。ジャン、顔色悪くないか?」


なんだかぼーとする頭でベルナルドに顔を向けると心配そうな顔が映った


「ん…ベルナルド?」

「…熱あるな」


手が顎を捕らえ上を向いた時、ベルナルドの額と俺の額が触れ合い、ベルナルドは難しい顔をして離れた


「今すぐ医者を呼んでくるからジャンは自室で休んでいてくれ。いや、辛いようならソファーに横になっていてもいい。とにかく休んでいろ」

「え…ま、待てってベルナルド!」


止めようと伸ばした手は空を切りベルナルドは急ぎ足で部屋から去って行ってしまった

大丈夫だと言ってもカポをそんな状態で放置出来るわけないだろ!と凄い剣幕で怒られただろう


「仕方ねぇ…な」
溜め息混じりに椅子から立ち上がりソファーにごろりと寝転がる

フカフカした高級ソファーは寝転がっても足がはみ出る事も無くピッタリと体が収まっていて何故か落ち着き俺の瞼は自然と落ちて意識を手放した



「……ん…」


額にひんやりとした感覚がして俺はうっすらと目を開けた


「悪い、起こしちまったか?」


まだ眠たいなら寝てればいいと前髪を梳かれまた瞼が落ちそうになった

けど、何でベルナルドじゃなくてルキーノがいるのかと逆に疑問が出てきた

もしかしたらこれは夢じゃ無かろうか?

そんな疑問に俺は無意識に名前を呼んでいた


「…ルキーノ」

「どうした?何か欲しい物でもあるのか?」

「ルキーノ…が欲しい」

「お前なぁ……んな事はもっと元気な時に言いやがれ。これじゃあ手を出したくても出せねぇだろうが」


病人には手を出さない紳士というのは驚きだったがここで襲われてもベルナルドかジュリオ辺りが飛び込んで来るだろう

けどなぁ、何時もはもう死ぬと言っても放さないコイツが


「ダーリン、病気?」

「ハッ…カーウォロ、お前が病人だ」


小馬鹿にして笑うルキーノの顔には疲れの色が見えて俺はやっと自室のベッドにいることと外が暗いことに気が付いた


「今、何時だ?」

「もう12時を回るな」

「なっ…!!」


確か俺が寝たのはまだ昼にもならない頃だった筈だ

どんだけ休んでたんだ

一日サボればどんだけ次の日大変なのかは経験済み

あれは一瞬の虐め

…いや、牢獄と同じぐらいキツイ


"書類地獄"


「っ!」

「お、おいっ、ジャン!いきなりどうした」


上半身を起き上がらせればぐらりと視界が歪み倒れそうになったのをルキーノが支えてくれた

助かった…


じゃなくて!


「ベルナルドは?」

「あいつはお前じゃなくても処理できる書類の整理をしてる」

「なるほどな…」


と言うことはそこまで酷い書類の山はできない

ベルナルドがやってくれるとなれば俺は早く病気を追い出すのが先決

と言うわけで…


「ルキーノ、飲み物と食事を持って来てくれないか?」

「あ…あぁ」


栄養を取るのが先決だ


「それと、ベルナルドにもサンドイッチを届ける様に部下に」

ベルナルドの奴は食事を決まった時間に取る習慣がなく、一つの事に集中すると飲まず食わずで仕事をする癖がある

きっと今日も飲まず食わずだろう

そんなベルナルドを思い出してフッと笑えばルキーノの顔が険しくなった気がした

また熱上がったか?と額に手を当てた手はルキーノに掴まれベッドに押し倒された


「ルキ……っ!」


驚きとベッドに押し倒された衝撃に頭がクラッとした

そして次に紡がれた言葉に唇を奪われた


「気にくわねぇな」

「…ん…っ!」


不機嫌そうな言葉と乱暴な口付け

何が起こったのか分からずにされるがままとなった俺にルキーノは散々口付けを堪能したのか唇を放した


「…はっ…ルキ…ノ…」

「気持ちよさそうな顔してんなわんわん」

「おい…なにしてっ!」



さっき襲わないって言わなかったか!?

服の中に手が入って来て流石に慌ててルキーノの胸を押し返すが弱っている体にさっきのキスのせいで力が出なく手を添えている様になっていた


「っ〜〜!マジ無理だって!」


こんな体調で襲われたら何日寝込む事になるか…

思うだけでゾッとする


「人に移して治るって手もあるぞ」

「いやいや、ナニやって人に移せたとしてもぜってぇー治んねえって!!逆に悪化する!!!」


コイツが何でいきなり不機嫌になったのか理解が分からん

さっき俺何言ったか?

えっと、確か……


「ダーリンってばベルナルドに嫉妬したのかしら?」


ピタリと止まった手にビンゴと思いつつルキーノの頬に手を滑らせた


「…あいつは俺よりお前と付き合い長いだろ」

「まぁ、ボスに言われて何度も一緒に行動したからそれなりには長いかもな」


意識したことは無いが、遊びに付き合ってくれるほどは長くはあるし、息も合う

そう言えばベルナルドは顔も良いし、女にモテるわ、頭が良い


…………


選択ミスたか?


このラッキードッグが


………いや、


でも…俺はコイツから、


誰の口でも無くルキーノから


「何笑ってんだ」

「あ?いや…」

真実が紡がれるのを待つから


だからそれまで俺はルキーノの事を好きだと言わない


それがせめてもの抵抗





     -END-

初!ルキジャンでした><
えっと、久々に買ったPCゲームから書いてみました♪
初めてだったので何か口調が変だったり、ジャンが一途だったりと色々ありましたが、書けた事に満足です!

2011.4.11 完成

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