5.望む (青黒)



※青黒でシリアスですので苦手な人バック!!


早く…


早く現れて下さい。


あの人の目を覚まさしてくれる人…




見つけたと思ったんです。
あなたを救えるかもしれない存在を…

暖かな淡い光を

なのに


「お前の目も腐ったもんだなぁ、あんな貧弱な光の影になるなんてな。」

「っ…貧弱じゃありません。僕はあの光の影になると自分で決めたんです。」


最悪だと思った。

見掛けてしまった青峰くんに隠れる様に入った裏路地で腕を掴まれ、壁まで追い込まれるなんて思ってもいませんでした。


「その光をつぶしたら戻って来るんだな?俺の元に」

「戻りません。それに火神くんに何かしたら許しませんから。」

「俺の前で他の男の名前呼ぶな。庇うなっ!」


ガッと鈍い音が近くでして一瞬何が起こったのかが分からなかったがパラパラと壁が剥がれ落ちる事で理解した。

壁が欠けるほど強い力で壁を殴ったんだと。


「何で離れんだっ」

「あなたが変わってしまったからですよ。僕は変化など求めていなかったのにあなたが変わったんです。青峰くん」


辛そうに吐き出される言葉に抱き締めれない変わりに責めるような言葉を口に出していた。


「あなたは光は強すぎて僕ではもう生きていけないんです。あなたの影として生きていけないんですよ。」

「ん…だよそれ。バスケじゃなくて良いんだよ。ただ俺の側に…」

「あなたには分からないんですか。じゃあ良いです…さようなら。」


強すぎる光は影を薄めるんです。
強めるのは火神くんみたいな淡い光なのに全く分かって無い君も淡い光の時があったんですよ?

自宅へ向かおうと青峰くんの両手に阻まれていた腕を潜り抜け背を向けて歩いて行けば止める声が聞こえ、足を止めたが振り返りはしなかった。


「テツ待てよ!俺はお前がいなきゃ壊れちまう!!」

「僕が離れるより先にあなたは壊れていましたよ。」


見たくなかったこれ以上聞いていたくなかった。

辛く、悲しい声なんてあなたには似合わないんですから。

青峰くんを置き去りにされるのは辛かったですよ?

僕だってあなたが壊れてから自分も壊れてしまいそうになったんですから。


「テツ!!!」


そんな必死に呼ばないで下さい。振り向いてしまいそうになるじゃないですか。

一歩一歩進むのが辛いじゃないですか。

後少し待ってて下さいきっと僕が…僕達が助け出してあげますからだから


どうか泣かないで


それが今の僕の望みです。





     -END-

なんか切ないですね〜。両思いなのに優しく出来ない、救ってあげようと必死な黒子。
思っても自分の物にならない黒子に苛立ち、悲しく、辛くて物に当たらずにいられない青峰。
早く言えば二人のすれ違い作です。



2010.8.25 完成
2011.3.11 移動

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