4.懐かしむ(獄綱+10)
※獄綱で十年後が苦手な方はお逃げ下さい。
チュンチュンと鳥の鳴き声が耳に届き俺はむっくりとベッドから起き上がれば、太陽の光を反射する様な綺麗な銀色が隣にいてフッと口元が緩むのを抑えれなかった
「隼人」
名前を呼んで手触りの良い髪に触れる
初めて隼人が隣で寝ていた時は顔を真っ赤にして抱き締められてたから逃げようともがいたっけ
「…十代目?」
クスクスと思い出し笑いをしていれば目を開けた隼人と目が合って、まだ寝ぼけているのか首を傾げる隼人ににっこりと笑って唇にキスを落とす
「おはよう。隼人」
「お、おはようございます」
俺からのキスはまれだからか隼人は顔をほんのり赤らめて挨拶を返してくれる
礼儀正しいのは十年経っても変わらないなぁなんて思いながらベッドから降りて着替えようと着ていた上着を脱ぐとハンガーに掛かったワイシャツを手に取る。
「隼人、今日は休みだったよね?」
「はい。何処か行くんですか?」
「ん〜、隼人も来る?」
今日は久し振りの休みで家でゴロゴロするのも有りだと思ったけど、久し振りに見に行くのも有りだ
「付いて行っても良いなら行きますが」
「じゃあ付いて来て」
「分かりました」
何回やっても慣れないネクタイと戦っていればこうですよ?と優しく教えてくれる隼人に毎度の事だが迷惑を掛けている気がする
着替え終わり、顔を洗って髪を整えれば準備が終わった隼人が食事はどうしますか?と聞いて来た
「外で食べようか」
「分かりました」
車を用意する為に携帯を取り出した隼人だったが、俺はその携帯を没収した
「じゃあ、行こうか?」
「はい」
何処に行こうとしているのかがやっと分かったのか、隼人は俺の手から携帯を取り返すと電源を消してポケットに携帯がしまわれた
「隼人、初めて此処に来た時の事覚えてる?」
「勿論覚えています」
軽く歩きながら食べれる様な物を買い、袋をあさりながらあそこへ続く道を歩く
「俺が挫折して一人で泣ける場所を探してて、偶然見つけたあそこで俺が泣いてるの見付けてくれたんだよね」
「あの時は本当に焦りましたよ。何処を捜しても見つからないですから」
昔の話に花を咲かせていれば何時の間にか目的地に到着した
そこは一本の大きな木がある公園の一角だが、此処で遊ぶ子供が居ないためとても静かで、草の上に腰を下ろせば隼人も隣に腰を下ろす
「…懐かしい」
「そうですね。」
さわさわと風が噴く度に揺れる木の葉は音はとても心地よく、草の上で横になると耳を澄ます様に俺は目を閉じた
「十代目…」
優しく頭を撫でる隼人の手に俺はさっきと真逆だと思いながらも、それが心地よく目を開ける気にはなれなかった
時々はこう言う時間、過去を懐かしむ事も良い事だなぁと眠気に襲われながら思った
-END-
あれれ!?なんか獄寺が甘い!
でも十年後とか絶対落ち着いてそうだなぁ〜て思ったらこんなものが(°□°;)
2010.8.21 完成
2011.3.11 移動
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