10.惚れる(百四)



※初百四小説です。しかも大人なので気を付けて下さい。
濃厚なキスも有り!




最初に真っ正面からあいつと会った時、跳び蹴りをしたことを覚えている


「サラッと交わしたのに怒って怒鳴っていた様な気がするな」


フッと昔の事を思い出して煙管を加える

最初はこの煙管も合わなくて何度も噎せた

ふぅーと煙りを吐き出して襖に目を向けた


「来たか」


ダラッと胸元を開けて着物を着てソファーにゴロンと寝転がる

昨日の酒がまだ抜けていないのだ


「四月一日」

「買って来たか?」

「あぁ」


百目鬼からビニール袋に入った食材を見て足りない物は無いか確認しながらポツリと呟く


「もうお前と会って十年ほどか…」

「数年前までお前はキーキーうるさかったな」

「…忘れろ」


流石にこの年なって昔の様には出来ないし、したくもない


「…どうした?」

「いや…マル、モロ手伝ってくれ」

『は〜い!』


料理の作るのに二人をソファーから立ち上がりながら呼べば元気のいい返事と足音

「…四月一日」

「ん?何だよ」

「一人で抱え込むな」


呼び止められて振り返ると真剣な表情をした百目鬼の顔があり俺は笑顔で抱え込んでねぇよと言う言葉を残して台所に向かった




「…うまい」

「そりゃどうも」


料理を食べ終え、縁側に座りグラスに入ったワインを一口飲んだ百目鬼はポツリと漏らした

それに機嫌良く言葉を返した四月一日はグラス百目鬼のグラスにワインを注ぐ


「作ったのか?」

「あぁ、自家製だよ」


そう言ってワインを一口飲む四月一日は気に入った味になっている事に嬉しそうに目を細めた


「今日、依頼があった」

「何んだった」


依頼の話が出ると微かに眉を寄せて内容をきくのは今では癖になっているのだろう


「探し人を見つける簡単でいて難しい依頼だったよ」

「そうか…」


あぁと頷けば百目鬼は何処かホッとしている様子に見えた


「お前は……いや、何でも無い」


何時まで俺と共にいてくれる?

なんて我が儘言えないから百目鬼を遠ざけようと

何度も

惚れ込んでいかない様

何度も

遠ざけようとすればする程


「離れねぇよ」


心を読んだ様なタイミングで放たれた言葉に俺は驚いて百目鬼に顔を向けた


「百目鬼」

「嫌がろうが側にいる」


嬉しい言葉なのに自分の存在が百目鬼を縛っている事に胸が痛む


「な、何言ってんだ!てめぇはさっさと結婚して…」

「お前とだったら結婚してやる」


顔に熱が集まるのが分かって

何言ってんだって冗談だろ?

なんて言おうにも口が動かなくて


「冗談で言えねぇからな」

「ば、馬鹿だろ」


真剣に言ってる事が分かったから動揺した

いや、百目鬼は何時も真剣に俺の事を考えているのを知っている


「お前は」


もう店に来なくて良いと何度も言ったし、術を使って隠しても百目鬼にはなぜか効かなかった


「もう黙れ…」


何時もそうだ遠ざけようとする度に自分の存在を刻む様に百目鬼は少し荒々しいキスをする


「っん…ふっ…ん…」


唇を軽く噛まれたり、舌を吸われ、歯並びまで確認した挙げ句、舌を絡められて軽く噛まれビクッと身体が反応してしまった事に顔が赤く染まるのが分かった


「も…やっ……っん」

「…逃げんな」


身体をよじって逃げようと心みたものの百目鬼が腰に手を回した事で逃げ場を失った


「っふ…はぁ…どう…めき」

「…四月一日」


こいつのこう言う所に俺は惚れてる

無口で何考えてんのか分かんない百目鬼が時々見せる独占欲に近い行動


「百目鬼、がっつき過ぎだ」

「…悪い」


最初は惚れるなんて思ってもみなかった


けど今は


百目鬼に惚れている


けどこの事は一生


伝えれない思いだ。





      -END-

初!百四でしたがどちらかと言うとシリアスな感じでしたが;
自分で書いてて分からなくなってきたので無理矢理題名に繋げました><

本当はもっと長かったんですがね…圧縮したらこんな感じになってしまいました

やっと10まで来ましたので次も頑張ります♪



2011.4.5 完成

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