気づいていない事(狸リク)


一件が一段落して狸影は本家で暮らすことに決まり、早一週間が過ぎ様としていた。


「あっ、狸影くん。」

「若、今お帰りで?」

「うん、ただいま」


見知った後ろ姿に声をかければ立ち止まる狸影にリクオは苦笑いを漏らし、足を進めればその後を狸影はつかず離れずの距離を保ち後ろを歩く


「ここの生活には慣れた?」

「はい。お陰様で」

「そっか、でも騒がしいでしょ?」

「まぁ、そうですね。ですが、賑やかな方が俺は好きですよ」


悲しそうな笑みにズキンと胸が痛んだ。

つい、ごめんと謝ってしまいそうになり首を横に振った。

この人は謝っても若の所為じゃないと言ってしまうだろうから


「若?」

「え、どうかした?」

「いえ、疲れていませんか」


足が止まったからか狸影は少し屈んで目線を合わせてきた


「そ、そうかな?」

「隈が出来ていますよ」

「うっ…この頃なんだか眠れなくって」


目元を涙を拭う訳でも無いのになぞる狸影の指はとても優しい、甘えてしまいそうになって
誤魔化す様に一歩下がって距離を取ると狸影は不機嫌そうな顔をした


「狸影くん?」

「この頃夜によく出掛けている用なので…」

「あぁ、夜の僕が動いてるんだ。この頃良くあるから気にしないで」


夜はもう一人の僕の時間。

だから何しているのかは僕には分からないので気にしない様にしていた



「夜の記憶は無いんで?」

「重要な内容はあの人は見せてくれるから問題無いよ。」


冷たく、暖かい人だと分かっているから自然と笑顔になる。
夜の僕も考えは一緒だから


「それで良いのかよ」

「っ!」


いきなり低くなった声に、鋭い瞳に、掴まれた肩にビクッと体が震えた。


「狸影…くん」


まるで別人を見ている様で、驚いたのと、喜んでいる自分がいる

上手く言葉が出ないのはその所為だ


「あ…すいません」


脅えていると取られたのか慌てて手を放した狸影にもう少し怖い面を見せて欲しいと思った。


「狸影くんは」

「若!総大将がお呼びです」

「鴉天狗、分かった。すぐ行く」


急いで飛んで来た鴉天狗に何かあったのか察したリクオは鴉天狗を先に行かせ、狸影に向き直ると言おうとした言葉を続けた


「狸影くんは僕の体の心配してくれるなんて優しいね。僕は大丈夫ありがとね」

「俺は優しくなんかありません。リクオ様の方こそよっぽど優しいですよ」

「そうかなぁ。でもそう言われるとなんか照れるな…あ、早く行かないといけないからまた話でも付き合ってね」

「はい、俺なんかで良ければ何時でも声を掛けて下さい」


ありがとうと言ってリクオは鴉天狗の後を追った。



狸影くんは知らないだろうけど


じっちゃんや側近の雪女達より


僕の支えは狸影くんなんだ。


これは誰にも言わないけど、いつか狸影くんに伝えたいって思うよ






-END-

リクオ目線で書いてみたんですが、分かりづらい気がする…
滅茶苦茶文才が欲しい;




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